最近にわかに「2045 年問題」が取り沙汰されています。世間では 2045 年に AI の知能が人間を上回って、これまで人間がやっていた仕事がAI に取って代わられることだと理解されているようですが、2045 年問題を唱えたレイ・カーツワイルは、人工知能が人間の能力を上回るのは2029 年ごろだと述べています。彼は、2045 年にはシンギュラリティに至る知能の土台ができ上がっていると言っているのです。シンギュラリティ（Singularity）とは「技術的特異点」を指す言葉で、彼の説によれば、これが起きるとそれまでとは全く違う社会 ̶ 現在の人間が想像もできないような ̶ が現出する時点を意味します。

　ではいったいシンギュラリティはどのようにして発生するのか、それが起きると世の中はどうなるのか、また、それによって新たなビジネスチャンスが起きるのか、そしてそもそもそれは本当に起きるのかなど、最新の科学者や情報学者の説をもとにその発生のメカニズムから諸点を考察してみようと思います。