特集

住宅都市ならではの産業振興を

2015年11月2日

宝塚市産業文化部長 山本 寛

「住宅都市」一辺倒でよいのか、宝塚歌劇を中心に観光色をもっと出すのか、工場や店舗は必要ないのか等々、宝塚市のまちづくりを話題にするとき、しばしば議論になるポイントです。

平成23年度にスタートした宝塚市第5次総合計画には、将来都市像として、「市民の力が輝く 共生のまち 宝塚 ~住み続けたい、関わり続けたい、訪ねてみたいまちをめざして~」と、謳われています。やはり住宅都市であることは揺るぎなく、観光や文化の特色も生かすというまちづくりの方向を示しています。
しかし、行政内部では、「住宅都市」を確立するならば、空気がきれいで、静かで、街並み景観が美しく、福祉や教育施策が行き届いていて・・・純粋に住みやすさのみを追求すれば足りるという根強い考え方があります。真の住みやすさとは、いったいどのようなものでしょうか。住宅が整然と建ち並んでいたら十分で、観光や産業は、静穏な市民生活にとって、むしろ邪魔な存在なのでしょうか。他のまちへ出かけて、宝塚市から来ましたと伝えたとき、よいところにお住まいですねと即座に言葉が返ってくるのは、単に住宅都市としてのイメージが評価されているだけではないでしょう。

宝塚市には、千年の歴史を誇る植木産業があります。豊臣秀吉の時代に、当時では最先端の技術というべき接ぎ木法が発見され、植木・花き栽培が一気に発展しました。現在でも、農業分野から、卸売・小売などの流通、造園など、高い技術力に裏打ちされた幅広い領域において、他のまちには無い地場産業となっています。この花と緑の産業は、宝塚歌劇と並んで、良好な都市イメージの一因でもあります。

また、規模は小さくても、精密機械、食品などのものづくり部門から、建設、小売・サービス部門に至るまで、宝塚市の顔となる産業が、歴史を刻んで息づいています。これらの産業は、多くの雇用を生み、さらに、他の業種と結びついて、日常の買い物など地域の経済循環やまちのにぎわいへとつながっています。
このような視点で見ると、事業者が生き生きと活動し、まちに活気が満ちていることが、住みやすいまちの重要な要件となってきますし、住宅都市であるからこその産業が、もっとクローズアップされていいはずです。

宝塚市は、平成19年に、産業振興に対する市の姿勢を明らかにし、産業と地域社会が調和した豊かで質の高い市民生活を実現するため、宝塚市産業振興基本条例を制定しました。事業者、経済団体及び市が協働して産業振興を推進することを基本に、それぞれが果たす役割や市民の協力などを定めています。
この条例に基づき、宝塚市は現在、市内の既存事業者向けに、新たな商品開発や生産性向上のための設備投資、販路拡大などに対する支援制度をはじめ、様々な施策を展開しているところです。このような産業振興の取り組みが、将来にわたって市全体を元気にし、住、職、観光などバランスのとれた豊かなまちづくりにつながるものと確信しています。

「国民や地域と共に歩む中小企業をめざす」という理念を掲げられている兵庫県中小企業家同友会のみなさんと、今後もしっかりスクラムを組んで、真に住みやすいまちをつくってまいります。