同友会とは

目指すべき経営の方向性

<経済の現状と中小企業>

 今年は、アメリカ・中国・フランス・ロシア等指導者の交代・選出が予定されていることから、自国の経済成長へ力を入れる為、日本の景気にもプラスの影響の可能性がありますが、EUの財政問題等が足かせとなり、極めて不安定な経済状況が予想されます。

 昨年発表した「兵庫同友会ビジョン2015」で、“Think Globally, Act Locally.”(世界的視野に立って物事を考え地域と共に生きる)をキーワードとして提起しました。変わり行く世界を自分の足で、目で、耳で知ることが大切です。“ガラパゴス化”した経営者では、生きていけません。

 日本においては、国の補正予算約19兆円等によりGDPが押し上げられる効果はあります。しかし、円高が続くことが予想され、製造業の海外進出・展開が加速し、国内の“空洞化”が避けられない状況です。併せて、イラン情勢や世界的な金融緩和策による余剰資金の流入による原油等の原材料価格の高騰が懸念され、高騰にも関わらず価格転嫁がままならない、川上のインフレ、川下のデフレにより利益を出しにくい状況が続くと思われます。また、社会のルールの変更、技術革新、企業の合従連衡等で、一瞬にして顧客がいなくなる(マーケットの消失)ことも起こっています。

 今、日本政府はTPP(環太平洋経済連携協定)推進で、“開かれた復興”を模索していますが、農業だけでなく、24分野にわたる協議がなされており、工業分野、投資や労働の自由化、サービス分野まで関わり、国や地方自治体の調達も海外企業と競争することにもなりかねないなど、中小企業にも大きな影響が考えられます。

 また、消費税率を10%に引き上げた場合、実質GDPを3.09%も引き下げると推計(第一生命経済研究所)され、GDPの3%超の引き下げにより、マイナス成長に陥る可能性があります。不況の「第二波」を予見し、危機を乗り越えるための行動と経営の舵取りを学びあうことが課題となります。

 これらのことからも、既存の延長線上では維持・発展は困難で、「環境に影響されにくいオンリーワンを持つ」「“業態”を変えて儲かるビジネスモデルを見つける」ことが必要となっています。経済環境が劇的に変化する昨今では、変化適応するだけの環境適応型企業だけでは急激な外部変化に振り回されてしまいます。理念を基軸に自ら望ましい方向に環境を作り出す「環境創造型」になる必要があります。

 外部の世界に変化と改善を要求される前に、変化と改善を常に自ら促していかなければ成長できないのです。その価値判断の基準が経営理念です。見えている(はず)の未来を「見る」努力と対応が求められており、経営者が「日々これ新た」を旨に学び続けることが、最大のリスクヘッジです。


<同友会と会員企業>

 「NTレポート第31号」では、前期比で売上高DI(3→11)、経常利益DI(△6→4)ともにプラスになり、売上高DIは全ての業種で回復傾向にあります。次期予測では、サービス業(対個人)、商業、サービス業(対企業)は順調に推移すると予測されるものの、他の業種については、先行き不安の傾向が示されています。

 国税庁が発表した2010年度税務申告の内容では、黒字企業の割合は25.2%になり、3年連続で減少しています。また、冬季ボーナスについて大企業が2年連続増加であったことに比べ、中小企業で「支給する」とした企業の割合は49%で昨年を1.4ポイント下回り、4年連続で最低を更新したと報じられ(大阪市信用金庫調査)ています。つまり回復傾向とは言え、現状が赤字であったり、黒字でもその額が少ない企業がまだまた多いと思われます。社員の生活を守り・安定させる経営者の責任を自覚する必要があります。

 環境が厳しいほどやるべきことをやりきる企業が、顧客から選ばれ勝ち残ります。今こそ「ビジョン2015」で掲げた「動け! ためせ! 捨てろ! 見つけろ!」の精神で、日常業務の中から課題を見つけ、それを解決するために常に“ジタバタと動き続け”、意識を変え行動を変えることが大切です。まずは自社の現状(立ち位置)を正しく認識して、全社一丸となって具体的な行動を、間断なく(手を抜かず)進め、その努力の中で顧客から選ばれたものだけが“実を結び”次の糧となっていくのです。

 私たち中小企業が、地域に果たしている大きな役割の第一は雇用と納税です。民間企業で働く人の約7割(兵庫県は約8割)が中小企業で働いています。第二に地域内での取引関係が多く産業連関による波及効果により、地域内再投資力を高める地域経済の担い手です。第三に人材育成、特に労使見解に基づく経営指針の実践を通して自立型社員を育て、地域に人を残す役割を果たしています。第四に地域貢献(社会教育、環境保全、地域づくり等)活動の担い手も、その多くは中小企業や自営業者です。

 今、“理念型経営”を実践する同友会運動が地域へ与える役割が大きくなっています。

 物から心への価値観の変化が問われた大震災の教訓からも、生きる・暮らす・人間らしく生きる地域をつくる運動として、地域のコミュニティの維持発展に貢献する中小企業の持つ素晴らしさを地域に反映できるようにするためにも、地域に仕事をつくり雇用を生み出す企業づくりの活動と、地域に責任のもてる同友会づくりの運動を進めていくことで、人も企業も地域も元気にしていきましょう。