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スターハイヤー株式会社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

青田 勇祐(代表取締役)

所在地  

 

神戸市長田区大谷町3-23-33

創業   

 

1998年3月

事業内容 

 

タクシー、ハイヤー事業 ドライバー派遣

従業員数 

 

275名

公式サイト

 

https://starhire.jp/

入会年月

 

2016年5月

事業内容及び企業の沿革

1953年に祖父の創業した扇弘タクシー株式会社。その後、扇弘グループとして不動産業やペット葬祭事業に取り組んでこられる中で、2005年にM&Aでスターハイヤー株式会社を設立されました。2000年頃には51台だったタクシーの台数を、小泉首相政権下の規制緩和のタイミングで168台まで増車。現在は、会社役員やVIPの送迎などを担うハイヤー事業を核として、選ばれる理由のある会社ブランド作りに取り組んでおられます。

青田さんが代表取締役に就任したのは2017年で34歳の時。それまではプロのミュージシャンとして活躍されていたという、異色の経歴を持ちます。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

車両の稼働率が、そのまま収益に直結するタクシー業界。運転手を中心とした人手不足であることは否めませんが、業界全体の平均稼働率が60%であるのに対してスターハイヤー株式会社では80%もの稼働率を誇ります。徹底した『従業員ファースト』という、思いやりに満ちた経営姿勢がこの数字に繋がっているのだと青田さんは話してくれました。

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現在取り組んでいることについて

「この業界は、運転手同士の情報交換が盛んに行われています。あの会社ではどうだが、こっちの会社ではこうだといった会話がそうですね。働いている人同士の横のつながりに、どんな言葉が交換されるのかということを想像して、働きやすい環境作りに注力しています」

たとえば、新しい車両へ積極的に入れ替えることも従業員満足に繋がるのだとか。

「同じ乗るならば、運転手は少しでも新しい車に乗りたいと思うものです。また、新しい車ほど安全性に優れていますので、運転手も安心して働くことができますよね。タクシーは街で見かけるもの。あの会社は新しい車が多いという印象は一目で伝わるのではないでしょうか」

タクシーは見せるものではなく、見えるもの。なるほど、運転手の気持ちを尊重した環境整備への気持ちが伝わってきます。

「うちの会社を選んでもらったのならば、長く元気に働いてほしいと願っています。また、若い人たちにも就職先のひとつとして選択肢に考えてほしいんですよね」

青田さんはその想いを具現化するために、社内にフィットネスジムを設置。社員ひとりひとりの健康維持はもちろんのこと、運動に取り組んでいる社員と積極的にコミュニケーションをとることで、自社への帰属意識を高め、働くことへのモチベーションアップを図ろうとしています。

「社員寮も提供しています。マズローの五大欲求にもある通り、従業員たちは、まず衣食住の不安をなくしたいもの。安心して働ける会社なのだということを、言葉だけではなく、ハード面でもしっかり伝えていきたいと思います」

社員に対して

移動に付加価値を持たせ、移動という仕事を通じて生活を豊かにしていくことが理念であると語る青田さん。しかし、これまでの自分の意識では、その理念を実現していく組織の実現には程遠いものであることに気付きます。

「不満を解消することが、やりがいに繋がるのだと思い込んでいました。でもそうじゃない。何がやりがいなのか。お金だけではなく、時間や余暇といったものも含めて、何のために仕事をしているのかという意識の共有を、まずは幹部たちとしっかり話し合っていきたいと思います。コミュニケーションを重ねて、待遇を良くしていく。仕事がつまらなければ、人生だってつまらないものになってしまいますからね」

同友会への想い

様々な研修を受講できる同友会のコンテンツの多さが同友会の魅力のひとつであると青田さん。また、受け身になって「聞く」だけではなく「声に出して語る」ことでも、自問自答と同じような効果が得られると教えてくれました。

「自分の考えを同友会の場で発表すると、いろんな年代の経営者たちから反応が返ってきます。それによって比較することもできれば、気が付くこともたくさんあります。行動のきっかけになることもあれば、負けてたまるかという競争の原動力になることも。先代の社長である父も同友会でお世話になり、会社を《広げる》ことができたそうです。自分は《質を高める》ためにこれからも同友会を活用していきたいですね」

 

今後の展望

新車の導入、フィットネスジムの設置や待遇改善などを積極的に進める青田さん。従業員ファーストの取り組みをこれからも続けると、最後に熱く約束してくれました。

「女性ドライバーも増やしていくことができれば。フルで働ける方はもちろんですが、家庭の事情で労働時間が限定されるような方の雇用も増やしていきたいと思っています。歩合制の多いこの業界ですが、いま、試験的に時給制での採用も進めているところです。現場から上がってくるデータを分析しながら、誰にとっても働きやすい環境作りを進めていきます。経営者が行動で示すから、運転手たちの質も良くなり業界全体が良くなっていく。そんな循環を作っていきたいですね」

編集後記(取材の感想)

いわゆるスタンディングデスクを採用して、立ったままの姿勢でパソコン仕事をする青田さん。聞いたり学んだりしたことをそのまま横流しするのではなく、まずはしっかり自分が体感してみること、実践してみることで、その効果を実証しようとされる姿勢はさすがでした。

経営者は行動で示さなければならない。そして従業員が満たされれば業界全体の質が良くなり、お客さんにも地域にも還元されるものが増えるという強い信念からは、変えるためにはまず自分から変わることだという想いを感じることができました。

 

西神戸支部 西端 康孝