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株式会社アルファ

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会員名  

 

別所 広美(代表取締役)

所在地  

 

加古川市志方町西中227-1

創業   

 

1984年

事業内容 

 

一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業
廃棄物の再生品販売、一般貨物自動車運送業
第一種利用運送業

従業員数 

 

30名

公式サイト

 

https://www.alpha-g.jp/index.html

入会年月

 

2018年10月

事業内容及び企業の沿革

株式会社アルファは、昭和59年7月に別所広美氏の父上田隆博氏により設立されました。
父とともに、事業に携わってきた別所氏は、平成27年3月に代表取締役となり、同社の舵取りを任せられました。
同社の事業は、①一般廃棄物処理業(市民生活によって排出される可燃ごみ[一般廃棄物]、事業に伴って排出される可燃ゴミ[事業系一般廃棄物]の収集・運搬・処理)、②産業廃棄物処理業(事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、廃プラスチック類、金属くず、木くず、繊維くず等の廃棄物[産業廃棄物]の収集・運搬・処理)、③廃棄物の再生品販売、④一般貨物自動車運送業、⑤第一種利用運送業と多岐にわたります。株式会社アルファでは、一般廃棄物、産業廃棄物を収集し、これを自社の中間処理施設である大沢リサイクルセンター(平成15年完成、5品目の破砕処理施設の設置許可取得)、稲美ヤード(平成26年完成、6品目の破砕処理施設・圧縮処理施設の設置許可取得)に運搬し、分別作業、焼却作業、破砕作業、圧縮作業などの中間処理を行います。そして、焼却作業により発生した燃え殻や、圧縮作業によって生成されたスクラップ、インゴットは最終処分場(埋立て地)や再生事業者の元へ運搬し、破砕作業によって生じた木くずのチップはボイラー燃料として出荷します。また、株式会社アルファは、この他にもアルファグループとして、①解体工事を主な事業とする有限会社コレクト、②古紙、金属くず、プラスチック類のリサイクルを主に扱うアールスリー有限会社、③グループ会社の社屋等を用いて太陽光発電事業を行うイーアルファ株式会社等を有し、グループ全体で無駄なく、地球環境に配慮した企業経営を行っています。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

2017年末に中国が廃プラスチックの輸入を制限して以降、輸出先の代替地となっていた東南アジア各国(ASEANなど)でも輸入規制が導入されました。
これを受け、バーゼル条約が改正され、飲食物などが不着した廃プラが輸出入の規制対象となりました。これにより、廃プラの輸出が事実上不可能となり、国内での処理が必須となりました。また、これまでは、埋立て処分を行う安定型最終処分場では、安定型産業廃棄物(有害物や有機物が不着しておらず雨水等にさらされてもほとんど変化しない廃プラ、ゴムくず、金属くず等)を受け入れていました。しかし、最近では、廃プラはやわらかすぎて埋立てには適さないとして、最終処分場での受け入れが拒まれる傾向にあります。さらに、工場系の取引先などは、昨今の廃プラが地球環境に与える影響を懸念して、廃プラを埋立て等の最終処分に回すのではなく、リサイクルする志向となっています。
これらの廃プラに対する規制の強化や取引先の志向の変化に対し、株式会社アルファは、新たな中間処理施設を設立し、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラから廃棄物固形燃料[RPF燃料]を生成することで、その解決を図る計画を実行しています。このRPF燃料は、石炭相当の燃焼力を有し、1トンで600Lの燃料に代わるものです。なお、RPF燃料を生成することのメリットは、廃プラ規制への解決になるだけではありません。廃プラや木くず、紙くずの複合物(例えば、ラミネート加工されたもの)など分別が困難な廃棄物をそのままRPF燃料の生成につなげることができるため、分別作業が不要となり、コストカットにもなります。

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現在取り組んでいることについて

2年前に計画を立てた市川リサイクルセンター(土地1,000坪、工場120坪)が令和3年春頃に完成予定です。
ここでは、RPF燃料の生成、木くずの破砕を行う予定です。このセンターで生成されるRPF燃料は、1日12トン、1月300トンであり、これらを製紙工場、繊維工場のボイラー燃料として出荷します。一般的には、中間処理施設を設立する際、用地の調達や、周辺住民の理解を得ることが問題となります。しかし、公益財団法人産業活性化センターの協力もあり、用地がタイミングよく見つかり、粘り強い住民対応を経て、構想から2年で間もなく完成予定です。
株式会社アルファは、このRPF燃料の生成を皮切りに、廃プラ規制の波、リサイクル志向に順応し、地域のみならず地球環境の改善に取り組み、真のお役立ちを行います。

社員に対して

別所氏は、平成27年に代表取締役に就任した際、廃棄物処理という仕事は危険と隣合わせの事業内容であるため、社員には「安心・安全」な労働環境を整えたい、また「一人一人が考えて行動できる」ようになって欲しいという思いを強くしていました。
現在、株式会社アルファは、正社員が30名であり、アルファグループ全体では50名になります。そのため、社員が一丸となって社会のお役立ちを行うには、経営指針書にて経営理念を統一しておくことが不可欠です。
そのため、別所氏は、同友会に入会した後、経営指針書成文化セミナーを受け、経営指針書を作成しました。
そして、別所氏は、この経営指針書を8名の部門長に発表し、まずは部門長と理念を共有するところから取り組んでいます。
また、数字への苦手意識が高い従業員が多く、別所氏は、8名の部門長にMG研修に参加してもらい、数字に対する苦手意識の改善をはかっています。これにより、各部門長には容易に単価を下げることがいかに危険であるか身をもって感じてもらっています。
なお、株式会社アルファ従業員の平均年齢は50歳を超えており、若い人の採用が課題となっています。廃棄物処理業は、地域のみならず地球環境を維持するためにはなくてはならず、SDGsの観点からはヒーローのような存在ですので、この点を若い人にアピールして人材の確保に努める予定です。

同友会への想い

平成27年に代表取締役に就任した際、別所氏は、父である上田隆博氏の知り合いはいるものの、自分独自のネットワークがありませんでした。
しかし、同友会に入会した後、経営指針書成文化に取り組むなど、積極的に同友会活動にかかわる中で、同友会の仲間が増え、気軽に経営に関する相談ができるようになりました。また、経営指針書の作成に取り組む中で、外部環境分析、自社の現状分析ができるようになり、この度のRPF燃料生成のための市川リサイクルセンター建設計画を進めることができました。別所氏は、同友会活動によって得られる学びを自社に持ち帰り、また自社で実践することで得た成果を報告し、他の会員に刺激を与えています。

今後の展望

廃棄物の処理を通じて、地域社会のみならず地球全体へのお役立ちを行いたいと考えています。
市川リサイクルセンターでのRPF燃料生成はその第一歩となります。今後、廃棄物が溢れ最終処分場(埋立地)が無くなってしまうことも懸念されているため、廃棄物の処理方法、リサイクル方法について、もっと社会に役立つものはないか模索しています。見本となる企業の取組みを積極的に取り入れ、従業員に「安心・安全」に働く場所を提供しつつ、従業員と経営理念を統一して廃棄物処理で困らない持続可能な社会をつくっていきます。

編集後記(取材の感想)

私たちの日常生活、企業活動には廃棄物の発生が伴います。
廃棄物の山に悩まされず、私たちが何不自由なく活動できているのは、廃棄物処理の仕事のおかげです。地球環境に配慮し規制がどんどん強化されるため、廃棄物処理の仕事には常に工夫や、革新が求められます。そのような中、別所さんは、同友会の入会を機に経営者のつながりをひろげ、他社のよいものをどんどん取り入れて、自社の成長につなげています。社員への思いやりにあふれた別所さんが、これからもパワフルかつ繊細に地球環境を改善する計画を立て、私たちの生活を支えてくれることを思うと心強い限りです。

東播支部 本田総合法律事務所 水上 祐樹