会員企業訪問

VISIT

東京電機工業株式会社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

諏訪良介(代表取締役社長)

所在地  

 

姫路市網干区新在家355-2

創業   

 

1947年8月

事業内容 

 

電気・計装工事

従業員数 

 

14名

公式サイト

 

http://www.eonet.ne.jp/~tokyo-denki/

入会年月

 

2017年4月

事業内容及び企業の沿革

本社事務所は明治時代に建てられた、旧赤穂塩務局網干出張所で、近代化産業遺産に認定されています。

 

戦前、東京芝浦電気株式会社(のちの株式会社東芝)の姫路工場建設に際し、東京に本社のある東京電気株式会社がこの地に出張所を設け、建設工事に従事しましたが、竣工し引き上げる際に営業権、設備や従業員を譲り受け、祖父が会社を設立したことが始まりです。

 

大学卒業後、中堅ゼネコンに就職し、5年間営業職に就きましたが、29歳の時に、勤務先の経営が悪化し、東京電機工業に戻る事を決意しました。

 

入社10年目、先代の意向により、代表取締役社長に就任したものの、経営や財務状況も分からず、当時は顧問税理士の話すら理解できない状況でした。

 

そんな中、同友会に所属する仕事仲間の誘いでMGに参加したことをきっかけに同友会に入会します。MG終了後、会長に内緒で夜中会社に行き、決算書を探して読んだ時の感情は今でも鮮明に覚えています。経営に初めて触れたような気がした夜でした。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

コロナ禍で売上げが大幅に減少する危険性がありましたが、結果的には大きな落ち込みはありませんでした。設備投資を控える企業が多い中で、新規大型案件の引き合いを頂いた事、兵庫県、姫路市の入札案件を落札した事などが幸いしたのです。

 

一方で、小型案件は減少傾向にありました。仕事量の安定のためには、長く工期を要する大型案件の間に小型案件を差し込む事が、必要不可欠なのですが、コロナ禍では、小型案件が減少し、工程が埋まらないという事が起こりました。

 

ですが、このコロナ禍で生じた事態を逆に利用するべきであると考えました。どうせなら、生まれた隙間時間で未来の投資をしようと、これまで以上に推し進めた事が、インターンシップでした。

 

以前から取り組んでいたインターンシップですが、生まれた隙間時間を利用し、これを機に若手社員にインターンシップを通じて学生との交流を担当して頂きました。若手社員自ら、学生たちのカリキュラムを組み、教えていく。その過程の中で、若手社員には、「できることの喜び」を経験して欲しかったのです。これが功を奏したのか、学生も社員もイキイキと楽しんでいたように思います。また当時のインターン生3名の入社にもつながりました。今では、未来への投資をして本当に良かったと思っています。

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社員に対して

会議は、月一回の全体会議と週二回の責任者会議を行っており、力を入れている取り組みの一つです。会議で出た意見を元に、「若手育成が未来への鍵である」という思いに至り、若手で構成する「わかば会」を新たに組織しました。ここでも月2回の会議を行い、PDCAを愚直に行っております。ここでの会議のフィードバックは、否定を一切せず、肯定する事を原則としており、自己肯定感の向上を図りました。今では若手同士のコミュニケーション機会を増やす重要な場所となっています。

 

次段階としては、ベテラン社員と若手社員の相乗効果を図りたいと考えています。高い技術力は我々の強みであり、それは長い弊社の歴史の中で、ベテラン社員達が守ってきたものです。ベテランから若手へ、想いと技術を引き継ぎ、またその過程で相乗効果が出るような施策を現在計画中です。

同友会への想い

自社の未来を真剣に考えるようになったのは、同友会との出会いがきっかけです。それまでは、決算書に興味を持たず、従業員の環境に対しても意識できず、目の前の仕事をしていたら良いという意識であり、未来を描く事は出来ておりませんでした。今では自社の強みを活かしながら、苦手であった会議や報告などに積極的に取り組めるようになってきたと感じています。

 

これからも同友会での学びを活かし、評価制度や教育制度を作成するなど、新たな取組みを進め、人材成長速度を飛躍的に向上させたいと考えています。

今後の展望

電気工事業界は、移り変わりが激しく、参入する事業やタイミングなど柔軟に判断しながら取り組んでいく必要があります。その為には、採用と育成に注力し、多様な人材を育て続けねばなりません。

 

人材確保難の時代。今後も採用と育成に積極的に取り組み、我々は「10年先の技術者」を育て続け、未来永劫、成長し続ける企業となることを目指しています。

編集後記(取材の感想)

本取材を通して、企業は経営者の人格をありのままに映し出すものと、再認識させられました。諏訪代表取締役の優しく真面目な思いは、今、着実に企業風土として受け継がれつつあります。その根底には、①傾聴②改善③継続があったのではないでしょうか。顧客だけでなく、スタッフの声にもしっかりと耳を傾け、正しく改善し、PDCAを回し続ける事で、10年後の責任を取られている諏訪氏。まるで、夜をそっと照らす優しい灯りのような経営者像に、取材陣一同、癒された企業訪問でした。

 

有限会社藤久鐵工専務取締役藤原史陽