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中小企業が行う効果的な人材教育にはどのような種類や方法があるのでしょうか。「OJT」と「Off-JT」の違い、メリットやデメリットについて教えてください。

投稿者:(株)経営人事教育システム 下山学(神戸中央支部所属)

コロナによる価値観の変化も加わって、企業によって異なったり、社外に求めるものがどのカテゴリなのか、一律ではないと思いますが、大きくまとめれば研修は大きく「階層別」と「職種別」に分けることができます。

 

人材教育における「階層別」というのは、簡単に言うと新入社員、主任級、課長級、部長級といった経歴や実務によって変わる研修で、「職種別」というのは、接客業や事務職、営業職といった仕事内容ごとの研修のことを言います。

 

人材育成には大きく分けて「OJT」と「Off-JT」があります。

 

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

On the Job Trainingの略称で、実際に職場という環境で、先輩社員や上司から仕事を通じて仕事に必要な知識・技術を指導・育成する方法です。

 

Off-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)

Off the Job Trainingの略称で、職場という環境から離れ、セミナーや人材育成を行っている企業から講師を招き、座学等で知識や技術を育成する方法です。

 

OJTとOff-JTをうまく連携させて、企業の人材育成を進める方法についてみていきましょう。

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OJTとOff-JTを用いる上でのメリットとデメリット、注意点など

OJTとOff-JTの役割と連携の基本をまとめます。

 

Off-JTは一般的には、集合研修や座学、グループワーク等を活用し業界知識やビジネス知識を学びます。Off-JTでは業界やビジネスの基礎、理論、原理原則といった「型」をインプットすることで基礎を構築します。しかし、型だけ学んでも実際の現場でそのまま使えるとは限りません。そこで、実際に学んだ知識を応用してアウトプットしてさらにインプットするためにOJTを活用します。

 

Off-JTで学んだことをOJTで実践していきながら、先輩社員などから企業ごとの慣例(社内ルール)や詳細を指導され、一人で問題なく業務が行えるいわゆる独り立ちまで行います。

 

OJTのメリットとしては、現場で仕事をする能力が身につく(実践的)ことで、OJTのデメリットは体系的に学べないため、汎用性にやや欠けるところがあります。

 

次にOff-JTのメリットですが、体系的に学べるため知識の整理ができ、土台がつくれることで、Off-JTのデメリットは実務へそのまま使えるわけではなく、応用が必要だということです。

 

以上、このOJTとOff-JTの関係性をきちんとおさえておきましょう。

 

社員のキャリアパスに合った人材育成方法を考える

 

キャリアに合わせて行う人材教育のOJTとOff-JTは異なります。経営者や人事担当者は、この企画設計がとても重要になります。

 

1年目はまず、会社の内情や仕事の流れ、人を把握しながら、自身の仕事を覚えることが重要となります。Off-JTで社会人としての基礎的な知識やサービスへの知識などをある程度習得させ、OJTで実践を兼ねながら育成します。

 

よくあるのはOff-JTを簡素にして、OJTと称してすぐ配属させて現場任せにするというパターンです。経営者・人事担当者としては、特にOJTでどんなことをしているかきちんとトレースできるように仕組み化することが大事になってくるわけです。たとえば、OJT担当者、新人双方に定期的にヒアリングをするなどです。

 

OJTでは、できるだけ突き放さず、優しすぎず、程よい距離感で指導することが良いでしょう。

 

いつでも新人の質問や疑問に乗る姿勢を見せることは大切ですが、同時にただ答えを教えるだけではなく「考えさせる」こともさせないといけません。

また、新人が所属する部署だけでなく会社全体で新人を「迎え入れる」という気持ちを態度であらわす(日々の挨拶や、声掛けなど)と、慣れない新人の精神面の支えとなることでしょう。

 

2年目~3年目になると、会社によっては「メンター制度」「ブラザー・シスター制度」「プリセプター・プリセプティ制度」を採用しており、「後輩」をサポートすることを求められます。OJTでは、1年目とは異なり、少し突き放した距離感でより深く自分自身で考え、さらに「判断・決断する力」をつけていくことを促していきましょう。

 

いつまでも先輩社員に頼ってはいけません。こうすることで、責任感や会社の中での自身の立ち位置、何をすることが良いのか等を考える意識が作られます。

 

入社5年目にもなると部署内でも中間クラスになり、早ければ「チームリーダー」や「管理職」への道が見えてくる頃です。自身の身の回りだけでなく、後輩、他部署といった幅広い視野で物事を捉える必要があります。

 

部署の長をサポートするまたは代理を務めることが出来る位の気概、責任感を持たせ、「ヒトを動かす・マネジメントする力」ことを意識させましょう。この場合、Off-JTを積極的に採用することも効果的です。特に参加体験型研修であるワークショップなどがお勧めです。

 

以上のような内容を鑑みて、自社にあった研修制度(仕組み)を考えられ、社内で行うもの、社外に頼めるものを選択してみてはいかがでしょうか。

 

兵庫県中小企業家同友会では、人材教育、人材活用の様々な方法を学び合い、経験を語り合う場を設けています。座学だけでは知ることのできない「生きた」人材教育の方法を学んで、これからの時代に選ばれ続ける企業づくりに役立てていただきたいと願います。