投稿者:ユニバー社会保険労務士・行政書士事務所 中道 三喜男(兵庫支部所属)
新しい事業を始めてから法律や規制に抵触していたようなことが分かるのでは、あまりにリスクが大きすぎます。
今回は、新規事業の取り組みが規制対象になるのかどうか事前に行政に確認することのできるグレーゾーン解消制度と、企業によって安全性が十分確保されている事業であれば、国の規制の対象となるものであっても特例として認められる新事業特例制度のメリットと活用方法についてご紹介します。

グレーゾーン解消制度とは、企業が今から始めようとする事業が規制の対象となる(クロ)か、あるいは対象とならない(シロ)かが、企業から見て不透明である(グレー)の場合、クロかシロかを前もって国に確認できる制度です。
たとえば、医療機器メーカーが無人で安全に薬を受け渡すことができる機械を開発して、薬局に売り込もうとしたとき、「規制では、薬は薬剤師が直接渡すことになっているが、薬局でこの機械を利用して、夜間に無人で利用することはクロ・シロか?」といった疑問が生じた場合など、グレーゾーン解消制度を利用することで、定められた期間内にクロかシロか回答を得ることができます。(これは実際にあったケースで、シロと判断されたようです)。
グレーゾーン解消制度を用いる企業のメリットとしては、規制の対象でないと思って進めていた事業が、役所から「これは駄目です!」と判断された結果、根本から事業を見直すリスクを防ぐことができます。
また、顧客や見込み顧客に対して売り込もうとするとき、「●●に関しては国のお墨付きを得ています!」とアピールできるメリットがあります。
→経済産業省が随時公開しているグレーゾーン解消制度の活用実績
新事業特例制度とは、新たに始めるビジネスが現在は安全性等の観点から認められていなくても、企業が安全性の確保等を行っていれば、国がその事業計画を検討して、適切である場合、特例として認められる制度です。
たとえば「電動自転車のアシスト力は、道路交通法で人の力の2倍迄と定められているが、このアシスト力では、電動自転車にリヤカーをつけて走れない為、安全性を確保するので、人の力の3倍までを認めてください」という事業計画を申請した場合、国が適切であると認めた場合は、実施できます(これも実際にあったケースで、認められたようです)。
新事業特例制度を用いる企業のメリットとしては、新事業特例制度によって、他社に先駆けて新たな分野に参入することで、市場での有利なポジションを築くことができるということです。
そして社会全体考えると、「グレーゾーン解消制度・新事業特例制度」を利用して新たなビジネスにチャレンジする企業が増えることで経済が活性化し、また一般消費者は、今までにない便利で快適なサービスを受けることができるメリットがあるといえるでしょう。
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