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株式会社マエダマーキン

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

前田 泰治(代表取締役)

所在地  

 

兵庫県赤穂市天和1201-1

創業   

 

2016年3月

設立   

 

2016年3月

事業内容 

 

発電用ガスタービンや発電機、LNGポンプ部品、煉瓦用金型、MRI装置部品等、機械装置の金属部品の加工・製造

従業員数 

 

14名

公式サイト

 

https://maedamarkin.com/

入会年月

 

2016年10月

事業内容及び企業の沿革

高校卒業後地元の企業に勤めましたが、25歳で結婚を機に備前の鉄工所に就職。「10年で独立する」と戦略を立て、色々な部署で経験を積みました。2016年に独立。最初は三菱重工の二見工場に、鋳物の検査作業員として入りました。鋳物のけがきで基準線を書くことを「マーキン作業」と言いまして、社名の「マエダマーキン」はそこから名付けました。
しかし三菱重工の体制が変わり、創業3 ヶ月で追い出されます。営業は得意ですが、機械を持っておらず廃業の危機を迎えます。
そこで赤磐市の鉄工所と業務提携し、僕が仕事を取ってきて削ってもらうというスタイルで事業は軌道に乗りました。しかし、1年後にその会社も閉まることに。二度目の廃業の危機です。
現在の備前工場となる居抜きの工場を買い、設備投資、社員雇用、販路拡大を進め会社らしい形になったのは2017年5月くらいからです。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

影響が顕著なのは、コロナ禍と現在のインフレによる価格高騰です。
これらはうちにはめちゃくちゃラッキーで、国内の需要が増えて価格を見直してもらいやすくなりました。
また働き方改革も追い風で、生産能力が6~7割に落ちた会社が増加したおかげで、我々は供給能力を増やすだけで高額な仕事が入ってくる好循環が1年でできあがりました。
うちはコンビニなんです。品質が高いのは当然として、私自身が営業を行うのでレスポンスが良い。
金曜夕方に残っている案件でもマエダマーキンならすぐに引き受けてくれる。それで顧客は自分にしかできないことに集中できるので少々高くなっても構わない。我々は顧客に時間と選択肢を提供しているのです。
また日本でうちだけしかできない加工もあり、下請けでなく横受けとして相場のエビデンスが無いから材料支給で高単価でも注文が入ります。

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現在取り組んでいることについて

昨年5月に今の新工場を建てた時には予定していなかったんですが、今年の9月に隣にもう一つ新工場を建てます。こちらは取引先のラインをまるごと受け入れ、無人化・省力化に特化させます。1/3のスペースはもう長期の仕事が決まっています。ラインの移管先を探しているが、設備と技術力がそろっているのは近畿中国圏ではうちくらい。残り2/3のスペースも期待できます。

社員に対して

社員には「給料20万円で小遣い5万円は無理でも、給料100万円なら5万はもらえる。会社も同じ。」と言っています。働き方改革や権利主張ではなく、どうしたら100万円になるかということを考えさせる。僕はサラリーマン時代、頑張ってもリターンが無かったので、頑張ったらリターンがあることを経営理念にしています。
スキルマップなども活用し、社員は工場長から入社2年目まで互いを評価し賞与が計算されます。賞与年3回、社員旅行年2回、家賃補助、昼食手当、工場の冷暖房完備など待遇も退職金も充実。地元のハローワークや高校との関係がとても良く、長期的に求人にも困らなさそうです。この4月にも高校新卒2名入社します。

評価シートで「やれば見返りがある」ことを視覚化し、人事評価、能力開発、社長面接に活用。朝のミーティングでも社長の想いや大切にしていることを伝えるようにしています。

同友会への想い

創業時は無計画な経営者でして、2016年河岸さん(株式会社河岸製作所)に同友会を勧められ、その場で紙に売上や粗利を書いて1日にナンボ稼がなあかんとか教えられて目から鱗でした。入会して色々な方から勉強の機会をいただきました。
指針書ですが、成文化セミナーで作ったものは納得がいかず数年間放置してました。
でも、僕が勝手にライバル視している北はりまの片岡さん(片岡工業株式会社)が、会うたびに「同友会や指針書を使い倒してこんな成果が出た」っていう話をしてくるんです。だから負けてられなくて、自分も逃げずに指針書に向き合おうと一所懸命やったらあっという間に売上が2億から4億になった。指針書ってエッジをきかせるほど自分の首を締めますが、そこは逃げずにエッジをきかせるっていうのがすごく大事だと思いました。

今後の展望

将来的にM&Aを進めてホールディングス化し、兵庫県東部に進出したいと考えています。
後継者は今はいません。高二の息子はうちに入社したがっていますが、多くの2代目は甘えが出てレスポンスも落ちる。一度外に出てもらって適性を見たいと思います。

編集後記(取材の感想)

北はりま支部でも勢いのある企業の一つ、株式会社マエダマーキンさん。話題にのぼるのはその驚異的な数字ばかりで、創業わずか一年で二度の廃業危機を乗り越えたことは、意外と知られていないかもしれません。ご本人は「あまり真面目な同友会員ではない」と謙遜されていましたが、指針書に真正面から向き合い、着実に回し続ける姿勢は、むしろ実に同友会らしいと感じました。また、社長自らがトップセールスとして現場に立ち続ける姿は、同友会内でも賛否が分かれるかもしれませんが、私にとっては欠けていた姿勢でして、取材後心が奮い立ちました。

 

セノヲ株式会社 代表取締役 妹尾 浩志