会員企業訪問
VISIT


会員名
西村 勇人(常務取締役)
所在地
神戸市中央区磯上通7-1-20
創業
1976年
設立
2020年6月
事業内容
蟹料理・和食を中心とした飲食店、総菜販売業、食育事業
従業員数
社員34名、パート・アルバイト61名
公式サイト
https://www.nishimuraya-fc.com/
入会年月
2018年1月
事業内容及び企業の沿革
創業は1976年、株式会社西村屋の外食部門としてスタートしました。弊社は城崎で温泉旅館を営む西村屋をルーツとして、その6代目の弟である私の父が1号店を姫路に出店したのが始まりです。その後、神戸にも出店し、現在は姫路で1店舗、神戸の三宮に3店舗を運営しています。
姫路と三宮の1店舗は大型店舗で主に団体客向け、三宮の残りの2店舗は主に個人向けで、蟹料理や和食をメインに提供しております。また、各店舗でもテイクアウトをやっていますし、おせち料理やギフトの販売も行っています。
業界の状況、外部環境の変化とその中での対策
まず、原材料費の高騰です。これに対応するには価格転嫁が不可欠と考え、都度価格の改定を行っています。客数減少に伴う売上減という不安もあったのですが、おかげさまで今のところ客数を減らすことなく順調に進んでいます。どの料理も一律に値上げするということではなく、どのメニューをどの程度上げるかは、慎重に検討しています。これには、同友会をきっかけに始めたMGでの学びが大きく役立っています。
人件費についても、給料を上げていかないといけないのですが、それだけではなく社員の働き方も改善していかないといけないと考え、いろいろと取り組みを行っています。
まず、年間休日の確保。そして、役職者でもまとまった連休をとれるよう定休日の増加やシフトの調整等を工夫しています。働く環境についても、飲食業界では労働時間や残業代の管理があいまいな場合も多いのですが、管理ツールの導入や、みなし残業の撤廃などを進め、改善に努めています。積極的な有給消化の声掛けも行っています。


現在取り組んでいることについて
まず一つは、人の確保です。先ほども述べましたが働きやすい職場環境づくりを行い定着率を上げること、また、新規採用についても調理師学校で出前授業をさせてもらう試みなどから徐々に成果は出ていると感じています。社内の組織づくりとしては、社内研修や毎月の店舗会議を行っています。会議は各店で月1回、全店舗集めた全体会議を月1回の計2回行っています。各店会議では自分はオブザーバーとして参加し、店舗の運営について社員自らで考えてもらうようにしています。全体会議では月次決算の確認や口コミの共有、来月以降に向けたアクションプランの共有等を行っています。今年からは組織の横串を通すための取り組みとして、店長会議、料理長会議も新たに始めました。
インバウンド観光客の対応も進めています。特に姫路にはインバウンドの外国人観光客が多いので、姫路城や神戸空港と連携したキャンペーンへの参加、旅行会社と連携したツアー客の取り込み、高単価な外国人向けのメニュー開発などを行っています。
また、多くの人に和食に興味を持ってもらいたい、日本が世界に誇る和食文化を守りたい、という想いで、小学生対象のこども食堂や、中学校を訪問して和食の魅力を伝える食育の授業を行ったりもしています。
社員に対して
外食業界では、数年前にコロナ禍という非常に苦しい時期がありました。今働いてくれている社員の多くは、その苦しい時期を一緒に乗り越えてくれた方々です。そんな社員のために働きやすい職場に向けての取り組みを行っています。一度当社を辞めた人が、「もう一度働かせてください」と言ってこられることもあり、そういった方の受け皿にもなれるよう引き続き業界の当たり前に縛られることなく、良い環境を作っていきたいです。
また、私は承継者なのですが、会社に戻ってきたばかりのときは自分から新しい取り組みを提案するばかりで社員の声をきちんと聴くことができず、先代である父ともぶつかってばかりでした。経営指針づくり勉強会での学びで先代や社員への向き合い方は変わり、今では、歴史を大切にしながらも、目まぐるしい時代の変化に追いつけるよう、社員と協力しながら共に成長していけるような会社にしていきたいと考えています。
同友会への想い
同友会の活動は、自社をよくするために行うと思っています。同友会で学んだことはたくさんあるのですが、支部や青年部で役職を引き受けることにより、自社でも組織を回していくために重要なポイントを学べました。自分がやったほうが早いけれど、役割を明確にしてしっかり任せることの大切さを学んだと思っています。また、コミュニケーションの大切さや、数値目標の重要性、MGの経験も、同友会で学んだことの一つです。
今後の展望
私は「ビジョナリーカンパニーへの5つのステップ」の考え方が好きで、当社の現状である「普通の会社」のステップから「強い会社」を目指して頑張っているところです。
当社の強みは、歴史やブランド力、お客様の質が良く落ち着いて働ける、という点ですが、内部環境についてはさらに強化したいと思っています。特に社員については、福利厚生の充実や評価制度の整備、学校との連携などで採用力や定着率を向上させ、人を雇う力をよりつけていきたいと思っています。
また、インバウンドなどに対応するなど外部環境の変化に応じた展開をしていくことで、売上的にも外部環境の変化によってブレる事のない組織を作り上げていきます。
なにより、全従業員が西村屋としてのプライドを持って仕事をしている、そんな会社にしていきたいと考えています。
編集後記(取材の感想)
承継者として会社に入られた西村さん。当初は困難もあったようですが、同友会での学びをこれでもかと自社の経営に生かしている様子をお聞きして、きっと「強い会社」になるのも近いのでは?と感じました。一緒にコロナ禍を乗り越えた社員さんたちへの「プライドを持って仕事をしてほしい」という言葉にも、会社の歴史とそれを発展させていく承継者の覚悟を感じました。
よい企業訪問、ありがとうございました。
アーク社会保険士法人 代表 藤原 弥季