会員企業訪問

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特定非営利活動法人 薫風

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

大須賀 謙太郎(理事長)

所在地  

 

神戸市垂水区城が山1丁目7-3リアライズ204

創業   

 

2006年1月

事業内容 

 

障がい者福祉事業、介護保険事業

従業員数 

 

41名(社員13名、パート28名)

公式サイト

 

https://kaorukaze.or.jp/

入会年月

 

2022年11月

 

事業内容及び企業の沿革

当法人は2006年1月にNPO法人を設立し、同年3月よりガイドヘルプ(移動支援)事業を開始いたしました。

介護福祉士としての専門性と誇りを追求するため、起業を決意したことが事業の原点です。

当初の「支援費制度」から「障害者自立支援法」へと法改正が続く中、居宅介護、重度訪問介護、行動援護、移動支援など、多様なサービスを網羅的に展開してまいりました。

その後、利用者様の生活ニーズと法改正に対応し、訪問介護、お子様を対象とした放課後等デイサービスを開設。

そして「福祉は24時間生活を支えるもの」という理念のもと、2025年4月には生活介護事業を開始し、現在に至ります。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

事業立ち上げの2006年頃は、福祉バブル崩壊に伴う報酬単価の急激なカット(8割、次いで2割)により、移動支援事業所が淘汰される非常に厳しい時期でした。

しかし、「利用者様が必要としている」という信念から、この逆境にあえて立ち向かいました。

国の単価削減により、移動支援事業が自治体サービスへ格下げされる危機に直面しましたが、親御様方の尽力により存続が叶いました。

その中で、報酬単価が比較的高く設定されている行動援護事業(重度の方への外出支援)を主力事業とし、利用者様を断らず支援を継続したことで、事業の安定化を図りました。現在も、行動援護事業が他のサービス全体を支える構造を維持しております。

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現在取り組んでいることについて

現在、各事業部に責任と権限を積極的に委譲し、代表者自らは運営に深く関わらない体制を構築しております。管理者に各事業の運営を一任し、「利用者主体」という理念に基づいた現場主体の事業運営を推進しています。

また、社員教育に注力しており、福祉の専門知識に加え、EQ(感情指数)を取り入れた研修の導入を計画しています。

福祉の仕事において、人間性が社会性や専門性に先行する最も重要な要素であるとの考えに基づき、EQを通じてスタッフ一人ひとりが自身の感情を理解し、より高い人間性を磨くことで、質の高い福祉サービスにつなげていくことを目指しております。

社員に対して

「利用者様に真摯に向き合う社員が報われるためには、経営者が経営を知る必要がある」との認識のもと、社員には利用者様との関わりに専念してもらい、代表者は経営(お金)に向き合うことで、得られた利益を社員に還元することを使命としております。

同友会でのMG(マネジメントゲーム)研修等を通じて、利益の必要性と融資を活用した積極経営の重要性を学びました。

現在は幹部に対し、目指す福祉を優先しつつ、損益分岐点の達成を意識してもらうよう指導しています。

また、同友会会員企業の協力により業務システムを導入し、残業時間を大幅に削減するなど、社員が働きやすい環境整備にも注力しております。

同友会への想い

入会当初、「福祉さえしていれば利益はついてくる」という誤った認識がありましたが、同友会で経営の重要性を痛感し、特にお金に対する意識を変えることができました。

「お金のことを考えずに事業を行うことは無責任である」と気づいたのは大きな収穫です。

また、同友会で経営を学び、借金への恐怖心が払拭されたことも、事業拡大の推進力となりました。

何よりも、経営に関して迷った際に仲間として相談できる人脈が築けたことが、最大の財産です。

例えば、煩雑な勤務管理のエクセル運用を、同友会会員企業の協力でIT化し、業務効率を劇的に改善できたのは、まさに同友会で得た繋がりの成果であります。

今後の展望

今後は、利用者様の多様なニーズを把握し、地域全体の福祉を見渡す相談支援事業の開設を目指しております。

相談支援員は利用者様の窓口であり指揮者。優秀な相談支援員を配置することで、全サービスを抱え込むのではなく、利用者様の幸せに繋がる最善の選択肢を提供したいと考えています。

そして、最終目標としてグループホームの立ち上げがあり、これは避けて通れない「親なき後問題」の解決を目指すものです。

グループホームでの幸せな生活を実現することで、ご本人様の不安を和らげ、ご家族も安心できる環境を整えます。

また、重度の方の緊急時にも対応できるショートステイの受け入れ体制も構築したい考えです。

これらは事業承継を視野に入れつつ、2 ~ 3年での実現を目指す喫緊の課題であり、ご家族からの具体的な相談も増えています。

当社の社名である「薫風」のように、利用者様や地域に心地よい風を送り、確かな足跡を地域に残してまいります。

編集後記(取材の感想)

同友会で経営を学び「利用者と向き合う社員のため、経営者がお金と向き合う」という責任感のもと、事業成長を加速させている点が印象的でした。

今後の相談支援事業やグループホーム設立といった挑戦も、きっと地域福祉に貢献されることでしょう。

今後の展開に期待しています。

 

上髙原企画 代表 上髙原 新介