会員企業訪問

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株式会社アルファベットクラブ

株式会社GAON|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)株式会社GAON|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

西口 卓(代表取締役)

所在地  

 

姫路市町坪441-1

設立 

 

2019年10月

事業内容 

 

プリントマーク、刺繍加工業

従業員数 

 

5名(内パート3名)

入会年月

 

2021年4月

事業内容及び企業の沿革

「お前は不器用だ」

かつて、何でも一人で完璧にこなしてしまう天才肌の父から投げかけられたその言葉は、若き日の西口氏の胸に深く、冷たく突き刺さっていました。父の背中を見上げながら、自分にできるのは手伝いばかり。けれど、運命はさらに過酷な試練を彼に与えます。

病に倒れ、外で働く術を失った彼に、父が黙って手渡したのは一台のパソコンでした。それが、デザインや事務という「裏方」から会社を支えるという、彼にしかできない唯一無二の居場所を見つける物語の始まりだったのです。

社員の幸せという、経営者の聖域

9年前に社長を引き継いだ西口氏が、何よりも先に、そして頑なに断行したことがあります。それは、業界では「当たり前」のように後回しにされていた社会保険の完備と厚生年金への加入でした。「ここで働いて良かったと、心から笑ってほしい」。その一心で、旧態依然とした手書き伝票をすべて電子化し、働く環境を劇的に近代化させました。

かつて父に否定され、居場所を失いかけた自分を救ってくれたのは、共に現場を守り続けてくれる仲間の存在だったから。だからこそ、彼は「自分の真の職人技は、社員の人生と安心を守り抜くことだ」と決意したのです。

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利益の源泉は、計算ではなく「徳」にあり

今のアルファベットクラブには、取引先の営業担当者や同友会の仲間が、磁石に引き寄せられるように集まってきます。「仕事のついでではなく、西口さんと話したいから寄ったんです」。そんな言葉が飛び交う事務所で、彼は相手の人生の悩みや家族の葛藤にまで、まるで自分のことのように寄り添います。
時には、退職を悩む営業マンに対し「それは他人のせいではなく、自分にまだできることがあるのではないか」と、逃げ道を塞ぐような愛の鞭を振るうこともあります。 その「心の通ったお節介」こそが、損得を超えた信頼の絆となり、相手から「西口さんのためなら、会社と価格交渉してきます」と自発的な動きを引き出すのです。テクニックや計算ではない、「人との縁が適正価格をつくる」という真理が、売上132%増、利益率3.4倍という驚異的な数字を、必然として導き出しました。

三方良しを貫く「徳」の経営が西口氏の手腕であることは間違いありません。

同友会への想い

今の力強い歩みの根底には、同友会で経験した「魂の震え」があります。

経営指針書の合宿中、一文字も書けずに己の不甲斐なさに打ちひしがれていた夜。夜が明けるまで隣に座り、共に悩み、言葉を紡いでくれた仲間の存在が、技術の追求に固執していた彼を「真の経営者」へと脱皮させました。「自分には仕組みを作る『才』が足りない。だからこそ、誰にも負けない『徳』で恩返しをしたい」。その謙虚で熱い姿勢が、さらに多くの仲間を突き動かし、ついに新社屋完成という大きな夢を現実のものとしたのです。

同友会への想い

同友会との出会いは、「私にとって大きな転機であり、かけがえのないご縁です。」と語ってくださいました。指針書作成を通じて先輩経営者から多くを学び、ブロック会やセミナー、役の経験の中で経営者としての姿勢を磨いてこられたといいます。多様な業種の仲間の報告や決算に触れることで、自社の課題を客観的に見つめ直す機会を得られ、その学びを社内へ具体的に落とし込んでこられました。

また困ったときには率直に相談し、自分も100%で応える。その積み重ねが、自らの成長と会社の発展につながっていると実感されているそうです。利害を超え、「人を生かす経営」という共通の志のもと、本音で語り合える関係性が、入会されてから感じている最大の価値だと話してくださいました。

繋いだのは不器用な父の愛と愛娘への約束

「お父さんの会社を継ぎたい」中学1年生の三女が照れながら口にしたその言葉が、今の西口氏を突き動かす最大の原動力です。

自分が不器用さゆえに歩んだ苦難の道を、娘には歩ませたくない。娘が引き継ぐとき、「西口さんの娘さんなら安心だ」と周囲に祝福され、適正な利益で社員を幸せにできる、誇りある土台を遺したい。難病を抱えながらも、彼は力強く笑って言います。「死ぬときは前のめりでありたい」と。
不器用だった二代目が、泥臭く、けれど誰よりも温かく耕してきたこの道は、新社屋という新たな形になり、今、社員とその家族、そして次世代を照らす、消えることのない希望の光となっています。

編集後記(取材の感想)

今回の取材で西口社長が大事にしているのは人とのつながりだと強く感じました。
社員の幸せを考え、職場の環境を良くするための設備投資や休憩室も広く取り、人を大事にするというそういった姿勢こそ会社を成長させる原動力だと感じました。
さらに中学生の娘さんにお父さんの会社を継ぎたいと言ってもらえるなんて、こんな事はなかなかないと思います。
これが西口さんのすごい所、人を引き付ける人柄に思わず嫉妬してしまいました。

 

株式会社オーカワ
大川 誠一郎