投稿者:(株)経営人事教育システム 下山学(神戸中央支部所属)
どんな時代のどんな組織においても、社内の雰囲気を向上し、部下をやる気にさせるコミュニケーションの工夫やモチベーションをアップさせていく方法には試行錯誤が求められます。
時代の変化とともに「背を見て学べ」が通用しなくなってきているのも事実。今回は、モチベーションをアップし、組織全体を成功へと導くEQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)という概念についてご紹介します。
今若者の間ではエモーショナルを「エモい」という言葉で表現しているそうです。
エモーショナルは、心や感情の動き、状態を言い表す語句です。感情といっても様々な状態がありますが、エモーショナルは感動・情緒を表現するものとなります。怒りや哀しみというよりは、感動や心の琴線に触れた事象、影響を受ける自身について述べるものです。
かつての高度成長期からバブルに至る時代、いわゆるキャッチアップの時代には、経営はトップダウン方式が主流でした。欧米企業に追いつき追い越すことを目指した時代には、トップ以下社員みんなが共有できる明確な目標があったからです。そこでは、上は黙って仕事をし、部下はその背中を見て学んでいけばよかったのです。
しかし、働き方改革や労働人口の減少といったこれまでの問題に加えて、新型コロナウィルスの拡大によるゲームチェンジが、多くの企業組織に影響を与えはじめました。
情報社会の進展に伴うテクノロジーの進化によって、企業には過去の成功体験にとらわれない新しい発想が求められています。また、グローバル化やメガコンペティションの進捗は、これまでの日本的企業が抱えていた価値観の変換すら促しています。
ここではもはや、かつての上下関係は通用しなくなりつつあります。上司がすべてを考え、部下はただ言われたことをやるだけでは限界があるからです。今、求められているのは、ナレッジマネジメントやラーニングオーガニゼーションといった経営手法に見られるように、ひとりひとりの社員が自ら考え、周囲と協働し、その過程で得られた様々な情報や知識を共有することで新しい発想を生み出していく組織です。
そのためには、一人ひとりの社員が自らをモチベートできることが第一の条件になります。また、必要な部署や周囲の人々と協働していくためには、相手を納得させられる働きかけが欠かせません。決して対立させず、かつ十分なコンセンサスを取りながら問題を解決していく姿勢が必要なのです。
新しい組織における上司の役割も変わってきます。これまでの上司は、説明したり、自らやって見せることで部下を引っ張ってきました。しかし、これからの上司に求められる最も重要なことは、、部下が自らやる気を燃やし積極的に行動するよう、部下の心に火をつけることです。
ここでお伝えしたいのがEQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)なのです。
EQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)とは、相手の感情を理解し、己の感情をコントロールすること。これからの新しい企業、新しい組織、新しい上司像にとって欠かせない要素なのです。EQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)の高い人は、自らを動機付け、強い達成意欲を持続させるだけではなく、周囲や部下をモチベートし、組織全体を成功へと導くことができます。
また、いくら組織のかたちを変えても、組織を構成する人間の気持ちや感情がそのままでは十分な成果を見込めません。そういう意味で、EQは、課題を多角的な視点から捉えたり、新しい解決法を導き出したり、創造的な発想を生み出すための組織をつくる基盤となる能力でもあるのです。
EQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)は人の感情を認識することから始まり、最終的に効果的な行動をとることで完結します。
EQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)の構成能力と言われるものは4つのサイクルがあるといわれています。
感情の識別からスタートし、感情の利用、感情の理解というコースをたどり、最後に感情の調整を経て、様々な形の効果的な行動という果実を生み出すのです。しかし、同僚などとの対人関係や部下のマネジメント、周囲とのコミュニケーションなどで行き詰まりを感じている人には、感情の識別から始まる4つのサイクルのうち、いずれかの能力、あるいは複数の能力に問題があるケースが多いと言われています。
これからの変化の時代を生き抜き、勝てる企業、勝てる組織にしていくためにも、EQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)をどう活用していくかがカギを握っていると言えるのではないでしょうか。
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