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コンプレックスを露骨に表現した広告の表現が、今後規制を受けていくということ ~Yahoo!の事例に見る多様化への対応

投稿者:(有)前川企画印刷 西端 康孝(西神戸支部所属)

2020年8月27日に、コンプレックスに関する表現の広告審査についてというプレスリリースをヤフーが出しました。9月3日から、Yahoo!内で表示される広告掲載基準への適用を開始しています。

 

ヤフーは「一部の身体的特徴をコンプレックスであるとして表現することは、差別意識を温存、助長するものであり、決して許さるべきものではない」とコメントしています。

 

人それぞれの価値観が許容され、「差」は個性として認めることが進む昨今。身体的な特徴を具体的なコンプレックスとして明記することは、たとえ広告内の経験談を紹介する体裁であったとしても許されないと宣言しています。

 

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コンプレックスを露骨に表した広告表現とはどんなものか

 

では、身体的特徴を露骨に表した広告表現とはどんなものなのでしょうか。

同じプレスリリースの中で、ヤフーは下記のような表現が差別を助長する可能性があるものとしています。

 

・体毛が濃いため異性にもてなかったが、除毛製品を使用することでもてるようになった

 

・ふくよかな体型であることによって、周囲の人から一緒に歩くことを避けられた体験からダイエット商品を利用したところ、そのようなことがなくなった

 

・薄毛であることだけで、他人の目が気になり自信を持てなかったが、育毛製品を利用することによって自信を持てるようになった

 

ヤフー発表のプレスリリースより引用

 

このような表現は、広告では多く用いられるものでした。

 

今回の規制は、あくまでヤフーが自社サイト内での広告に適用するものであり、法的な拘束力を伴うものではありません。しかし、多様性を正しく理解するということは、これからの企業(に限らずすべての個人においても)に大切な考え方です。早晩、同じような規制はすべての業界に浸透していくという前提で、私たち企業は、その倫理観と価値観を養うべきであると言えるでしょう。

 

今回は広告の話ではありますが、企業の姿勢は何気ない発信や活動のなかに現れるもの。広告だからコンプレックスを露骨に表した表現を用いてはならないとするのではなく、当たり前のこととして、身体的特徴は個性であるという考え方を育んでいきたいものです。

 

※同じ趣旨の特集をNHKも行っています。→ その広告、行き過ぎていませんか?