行政書士 橋本やすのり事務所 代表 橋本泰則(特定行政書士)

日々の経営の中で、「新規のお客様を増やしたい」「ホームページを見直したい」「設備を導入して業務を効率化したい」とお考えの事業者の方は多いのではないでしょうか。そうした前向きな取組を後押しする制度の一つが、小規模事業者持続化補助金です。今回は、制度の概要と、採択を目指すうえで押さえておきたいポイントを整理してお伝えします。
この補助金は、小規模事業者が策定した経営計画に基づいて行う販路開拓や、それにあわせて取り組む業務効率化(生産性向上)の費用の一部を補助する制度です。単に「広告費や設備費が出る制度」ではなく、その取組が売上増加や集客力の向上、事業の持続的成長にどうつながるかが重視されます。対象となる経費の例としては、次のようなものがあります。
ただし、ホームページなどのウェブサイト関連費だけで申請することはできません。ほかの経費と組み合わせる必要があり、さらにウェブサイト関連費には、補助金交付申請額の4分の1、最大50万円という上限があります。設備についても、単なる老朽化した機械の買い替えや、パソコン・タブレットなど汎用性の高いものは対象外となることがあるため、事前確認が大切です。
対象となるのは、業種ごとに定められた従業員数以下の小規模事業者です。
もっとも、実際には「自社がどの業種区分に当たるのか」で迷うケースも少なくありません。事業内容や収益構造によって判断が分かれることもあるため、早めに確認しておくと安心です。
第19回公募の通常枠では、補助上限は50万円、補助率は2/3です。たとえば、75万円の対象経費を使う場合、そのうち50万円が補助される計算になります。
さらに、要件を満たせば、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされます。両方の要件を満たす場合は、最大250万円まで補助を受けることが可能です。また、賃金引上げ特例に申請する赤字事業者については、補助率が3/4に引き上げられ、加点の対象にもなります。
ただし、重要なのは「いくらもらえるか」ではなく、「その投資によって事業をどう伸ばすか」を明確に示せるかどうかです。
申請で大切なのは、「何を買うか」よりも、「その結果、事業がどう良くなるか」を伝えることです。たとえば、「古くなったのでホームページを作り直したい」だけでは弱く、「スマホ対応が不十分で離脱率が高いため、サイトを改修し、問い合わせ件数を増やして売上増を図る」といったように、現状の課題、具体的な取組、期待される成果がつながっていることが大切です。
採択されやすい申請には、以下のような共通点があります。
第三者が読んでも納得できる内容になっているかがポイントになります。
もっとも、「やりたいことはあるけれど、文章にするとまとまらない」という悩みは珍しくありません。そうしたときに、行政書士など外部専門家の力を借りることには大きな意味があります。専門家は単に書類を作るだけでなく、事業者の頭の中にある構想や強み、現場感覚を整理し、第三者に伝わる計画書へ落とし込む役割を担います。自社では当たり前と思っていた強みが、実は大きな差別化要素だったと気づくこともあります。補助金申請をきっかけに、自社の価値をあらためて見直す機会にもなるのです。
補助金申請では、申請は電子申請のみであり、GビズIDプライムの取得に加え、地域の商工会または商工会議所へ事業支援計画書(様式4)の作成を依頼し、交付を受ける必要があります。発行依頼には期限があるため、早めの準備が欠かせません。また、補助金は原則後払いであるため、自己資金や資金繰りも含めた計画が必要です。
補助金はあくまで手段であり、目的は事業を持続・成長させることにあります。申請準備を通じて自社の強みや方向性を見つめ直し、未来に向けた一歩を着実に踏み出していただければと思います。
<執筆者紹介>
行政書士 橋本やすのり事務所
代表 橋本泰則(特定行政書士)
医療分野における実務経験と企業現場でのマネジメント経験を基盤に、伊丹市を拠点として活動。医療法人設立、障害福祉事業、遺言・相続、補助金申請支援を中心に、地域に寄り添った丁寧な支援を行っている。
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