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株式会社神報建設工業所

株式会社神報建設工業所|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)株式会社神報建設工業所|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

近藤 正也(専務取締役)

所在地  

 

兵庫県神戸市西区玉津町出合102

創業   

 

昭和20年10月

設立   

 

昭和22年9月

事業内容 

 

建設業(設備工事業)

従業員数 

 

17名

公式サイト

 

http://shinpou-kensetsu-kougyousyo.com/

事業内容及び企業の沿革

株式会社神報建設工業所は、給排水・空調・消火といった設備工事の設計と施工管理を行う建設会社です。創業は、第2次世界大戦の終戦後間もない、昭和20年10月です。大戦中に軍需工場に勤めていた施設部のメンバー4名で会社を興されたそうです。昭和25年に施行された旧水道法の公認制度において、神戸市の公認番号第1号を受けておられました。平成16年の法改正後も、老舗の水道工事業者として、一定の知名度を有しています。現在は、神戸市・明石市を中心に、水道工事のみではなく、給排水設備・空調設備工事・消火設備工事の設計と施工管理・維持管理(メンテナンス)を行う設備工事業者として、活動されております。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

リーマンショックの後は、建設業界全般に物件の数自体が少なく、1つの案件に多くの会社が群がってダンピングが起きる状況でしたが、現在は、東日本大震災の復興需要・東京オリンピックの建設需要を受け、東北・関東を中心に、活況とみられており、同業大手が東に目を向けているので、地元業者にも、比較的、仕事が行き渡りやすい状況です。しかし、震災復興も東京オリンピックの需要も、2020年には落ち着くとみており、その落ち着いた後を見据えつつ、設備設計→施工→維持管理(メンテナンス)を一体で出来る強みを活かしての対策を行っておられます。

株式会社神報建設工業所|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)株式会社神報建設工業所|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

現在取り組んでいることについて

最も力を入れられているのが、「設備設計一級建築士事務所」としての強みを活かすことです。平成19年に建築基準法の改正が行われ、3階建かつ5,000㎡以上の大規模な建物には「設備設計一級建築士」が関与することが義務とされています。「設備設計一級建築士」とは一級建築士の有資格者のなかで、さらに設備の専門性を認められた建築士のことなのですが、平成28年9月時点で、全国に一級建築士の資格者は約36万4千人いるのに対して、そのうち、「設備設計一級建築士」は約5千人(約1.4%)です。いかに希少な資格であるかがお分かりいただけるかと思います。そのうち多くは大手の設計事務所やゼネコンに勤務されていますので、地元で「設備設計一級建築士」として活動しているのは、より一層限定されます。神戸市内でも、施工管理を行う設備業者は多くありますが、その中で「設備設計一級建築士事務所」の業務を行えるのは、株式会社神報建設工業所を含め、2社しかありません。昨年8月には、設計業務を専属で行う社員(2級建築士有資格者)を採用し、設計業務の強化を図った結果、設計業務で目標としていた売上を2割以上、上回っておられます。

社員に対して

営理念は、会社と社員がともに成長・発展していくことを最重点にしたものとなっており、創業して間もないころに作られていたものだそうです。しかし、数年前まで、社内に、掲示もしてなくて、全く意識をされてなかったとのことです。一昨年10月の創業70周年のタイミングに合わせて、「中期経営計画」を発表した際、改めて、社内向けに発表後、掲示され、会社として、社員の成長・発展を重要に考えていくことを示したことで、今では社員一人ひとりが、会社のことを考え、行動されておられます。社員の意識が変わったという成果の1つで、今年6月に、阪神大震災以降で初めてとなる社員旅行が行われました。今後も、会社と社員がともに成長・発展していけるよう、社員の親睦を図れる企画を充実させていきたいと考えておられます。

同友会への想い

近藤さんは、同友会の場で、経営に関する考え方・手法を学び、その中でも、「成文化セミナー」からの学びが大きかったとのことです。前述の創業70周年のタイミングで発表した「中期経営計画」も、成文化セミナーの経営指針書の様式を、自社に落とし込む中で、中期的な視点を持つほうがよいとの結論になり、「中期経営計画」と名称が変わりましたが、大きな構成は、成文化セミナーの経営指針書の様式に倣っています。

今後の展望

建設業界では、「クラッシュ&ビルド」といって、既存の建物を解体し、「新築」を建てるというのが、主流の考えでした。日本人は、『新車』や『新築』という‘『新〇』ブランド’好きなので、その需要は、今後も、一定程度は確保されると思います。しかしながら、人口減少時代を迎える日本において、「クラッシュ&ビルド」から、既存建物を「リニューアル」への流れに確実に進んでいます。近藤さんは、リニューアルやメンテナンス業務の伸張を図ると同時に、前述の「現在取り組んでいること」に記載した、設計部門も成果を上げていくことで、安定的な売上げの割合を高めることに努めており、より一層、会社と社員がともに成長・発展していける組織を目指されております。

編集後記(取材の感想)

取材させて頂き近藤さんは、建築設備設計・施工・施工管理・施工後の維持管理(メンテナンス)が一社にしてでき、神戸に2社しかない「設備設計一級建築事務所」の強みを活かした地域密着型の経営に取り組んでおられ、自社の成長・発展に向け、建設業界の既存建物リニューアル化に伴う設備全般のメンテナンス業務にも力を入れ、売り上げ比率も高める努力と行動をされています。「身の丈にあった業務・行動で前進していく」発言も共感しました。自社の強みだけを見据えると拡大路線に走りがちですが、弱みも分析し、足元も見ながら前進する株式会社神報建設工業所は、さらに強い会社になると思います。

東神戸支部 榮 一秀(株式会社ネクストコーポレーション)