会員企業訪問

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株式会社ベルン/有限会社ジャンティベルン

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

倉本 洋一(代表取締役)

所在地  

 

兵庫県西宮市学文殿町1-8-19(甲子園本店)

創業   

 

1968年

設立   

 

1972年 株式会社ベルン 
1998年 有限会社ジャンティベルン

事業内容 

 

洋菓子製造、小売り

従業員数 

 

社員15名 
パート・アルバイト50名(2社の合計)

公式サイト

 

http://www.bern.co.jp/

事業内容及び企業の沿革

ベルンを創業したのはお父様の倉本洋海氏。長崎の壱岐の島で生まれ、幼いころにご両親を亡くし、育ててくださったお祖母様も亡くなって天涯孤独の身、中学卒業と同時に博多に出て洋菓子店で5年の修業、その後神戸での修行中出逢ったお母様と一緒に26歳で独立、西宮の鳴尾にわずか4坪半のお店をスタートさせたのが始まりです。「次男なのに名前(洋ひろ一かず)に一が付くことがなにかミッションを示しているのかな…」と語る倉本さん。1972年生まれの45歳。高校までサッカーに明け暮れ、卒業後洋画や洋楽へのあこがれからニューオリンズに留学、帰国後横浜の洋菓子店で修業を積み、26歳でベルンに入社しました。入社後はお父様の下で職人として店を盛り立て、ほどなく後継者として経営を任されるに至りました。2003年有限会社ジャンティベルン、2014年株式会社ベルンのそれぞれ代表取締役に就任。

業界の状況と現在の取り組み

入社しても3〜4年で退職したり他店に移る方がいたり、しかも独立も簡単ではなくなり、そもそもパティシエを目指す人自体ピーク時の半分くらいになっているという業界で、「同じ目的意識、目標を共有して共に歩んでいく組織作りが必要なのでは」と考えた倉本さんは経営理念とビジョンの共有を進めていきます。創業者であるお父様に大切にしてきた想いを聞いたところ、『お菓子の心は 平和の心』という言葉が返ってきたそうです。そこからいろいろと想いを巡らせて、たどり着いた経営理念が『まごころづくり 夢づくり』でした。フランス語で「砂」を意味する「サブレ」、甲子園の思い出に砂を持ち帰るという球児の話から生まれたロングセラー商品の「甲子園サブレ」や、「想いdeキャッチボール」、「心サブレ」といった商品名の一つひとつにベルンの理念追求の姿勢が表れています。

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同友会での学びと社員への想い

もともと根っからの職人だったお父様が経営の勉強をと入会されていた同友会に、お父様と交代するように入会された倉本さん、同友会は異業種の視点から業界の問題点に気付かせてくれる会だと捉えているそうです。時には厳しく指摘されることにも感謝しているとか。植松電機さんから子供たちと共に夢を語る取り組みを聞き、モクモクファームさんのお話から事業形態転換の苦悩を知り、いろどりさんから地域密着の街おこし企業の成り立ちを学ぶ…。先輩諸氏の経営体験報告から倉本さんの理想のベルン像が膨らんでいきました。手作りにこだわるお菓子屋さんだから、たくさんお届けしようと思うとどうしても社員に負担がかかります。みんなを笑顔にできる一番幸せな仕事と自負するお菓子屋さんで社員が疲弊するのはおかしい!という倉本さん。作りたい、お届けしたいものと種々の環境整備のバランス…。倉本さんの試行錯誤は続いています。

今後の展望

「お菓子作りは社員という作る人ありきであると同時に材料あってこその商売だ」事業を進めていく中で、やがて倉本さんの視点はより生産者へ向かうようになりました。そしてもう一つ、ベルンの大きなこだわりが「地域密着」です。地元の武庫川女子大学さんとの、地元の食材を復活させようという共同プロジェクトやトライやる・ウィークへの継続的な参加などを通じて、地域の点と点を結んで大きなビジョンを描いていこうとしているのです。そこにあるのは体験を通じた食育であったり、もの作りの楽しさ、大変さ、尊さを伝えていくことであったり…。それを支えているのは「お菓子には人を笑顔にする力がある」という倉本さんの強い想い、「まごころづくり 夢づくり」という理念なのです。倉本さんは「このビジョンを実現するのは簡単なことではない」と言います。既存の事業の問題点を解決しつつ理想の形をきちんと事業化していく。これまでの常識にとらわれないビジネスモデルを少しずつ創っていきたいと笑顔で語ってくれました。

編集後記(取材の感想)

前から知っていますが「熱い人」なのです。身振り手振りを交えて夢を語る姿からは「本気でこの地域で素晴らしいビジョンを実現させたい」という力強い想いが伝わってきて何だか嬉しくなりました。同時に人に対して細やかな心配りができる方だなという印象を受けました。詳しく書けないことも(笑)たくさんお聞きしたのですが…。倉本さんのビジョン実現をほんとに一緒に見届けたいなと思いました。    

 

阪神支部広報