会員企業訪問

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株式会社西村交益社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

西村 正司(代表取締役)

所在地  

 

兵庫県養父市八鹿町国木133-1

創業   

 

1961年9月2日

設立   

 

2008年10月1日

事業内容 

 

葬祭業

従業員数 

 

正社員8名・パート6名

公式サイト

 

https://www.koekisha.info/

事業内容及び企業の沿革

事業内容

養父市内を市場とした葬祭業、現在99%が会館葬

 

企業の沿革

1961年9月 2日 創業 葬具販売業

1988年9月14日 中国上海から帰国し、入社

2001年8月 1日 あまご会館稼働 葬祭業へ

2008年4月26日 さくらホール稼働(のちにもみじホール増築)

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

業界の状況

現在、全国市場も市内市場も施行単価は大きく下落、件数は全国的には増加、市内市場は横ばいです。単価の下落の主因は家族葬の増加で、葬儀申込件数の半数以上に及ぶそうです。その背景には地域住民同士のつながり(地縁、結い)の希薄化と「家族葬」という言葉の独り歩きがあるようで、西村さんは「家族葬という“鵺(注:ぬえ。仏教説話に出てくる得体のしれない物の怪)”に冒されている。“鵺”の正体は枯れ尾花なのに…。家族葬については、誰もが理解できるような説明を行える者は皆無であろう。そんな“鵺“に日本人の伝統や、人と人との関係性を壊されていくのは、見ていられない」と嘆いておられます。

そのような中、主催するセミナー(有縁会)、音楽会やニュースレターを通じて、葬儀は人生最後にして最大の通過儀礼であること、儀式としての“人を送る”ということの意味を地道に伝え続けておられます。

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現在取り組んでいることについて

地域密着B to Cでは、年輪経営が一番自然で、膨張ではなく成長を目指しているそうです。そのために“縁(縁起)”を大切にする経営に徹しておられます。今までご縁のあった3,000人の方のデータをデータベース化し、もっと密着したキメの細かいサービスの提供を模索しているそうです。実は人生後半のワンストップのトータルサービスの提供は一時大手が始めたが下請けへの丸投げがほとんどで結局成功、浸透していないそうで、いかに親身に寄り添えるかが大切とのことです。

社員に対して

同友会のために会社を不在にすることが多く社内に不協和音が生じていた去年、11人中5人が退職していきました。その後2人を採用し8人となりましたが以前と同じ仕事量を今の人員で普通にこなせることから、“無駄に水ぶくれ状態”だったことに気付いたそうです。そして何より価値観の同じ者が残ったことで結束は以前より固くなり風通しもよくなったそうです。「“社員一番”のつもりであったが、まだ、その思いが社員には届いていなかった。不徳の致すところである。“お前には情がない。理だけでは人は動かん”と田中代表にいつも言われたが、情と理の使い分けが出来ず、社員との人間関係を上手に構築できていない。人財育成と組織運営が、何より不得意なんだよなぁ」と、西村さん。

同友会への想い

「同友会との出会いで人生が変わった。考え方が暗病反から明元素になった。」とおっしゃる西村さん。2009年7月の入会前は、何をどう学べば会社が良くなるのか、一人前の経営者になれるのか分からず経営していたが、入会後は無心に学びなんでも吸収し、学ぶことが楽しくてたまらなかったそうです。中でも外部環境分析と長期経営計画の策定手法を学んだことは大きく、将来の人口動態分析からの30年に及ぶ業績予想はその後の会館(もみじホール)増築の根拠となりました。

その後5年間にわたって支部幹事長、支部長、全研副実行委員長を務められました。先輩から「同友会では失敗してもいい、やりたいことをやれ。でもな、支部長の2年間は、同友会が1番、会社は2番やで」といわれたことを愚直に守られた西村さんは「同友会と会社経営の両立はずっと暗中模索ならぬ暗中無策だったなぁ」と苦笑交じりに振り返られます。

今後の展望

過疎高齢化限界集落におけるビジネスモデルの構築、つまり、人口減少によるマーケット縮小での地域密着B to Cのビジネスモデルを確立している企業も理論を明確に打ちたてた専門家もまだいないそうです。そんな中、数年前に“養父市の年間予算は200億だが、65歳以上の市民の預金が500億円ある”と、ある金融機関の支店長から聞き、「もしこのお金が市場に出回って一回転したらものすごいことになる。外資もインバウンドも大事かもしれないが、もっと地域内でお金を回せる仕掛けが作れたら」と頭を捻っておられます。

また、「儒教思想(※1)や陽明学(※2)を基盤とした経営を目指した企業は数多いが老荘思想(※3)に基づいた経営を行っている会社を知らない。私はそこを目指したい」とのことでした。(※1〜※3についてはご自分で調べるか、直接西村さんに訊いてください)

編集後記(取材の感想)

当日の通夜の準備に社員の方が忙しく立ち回られる中で昼過ぎから始まった取材は途中からは少人数セミナーの様相を呈し、久しぶりに“西村節炸裂”の3時間半でした。中でも「“時代の変化に対応して維持発展しなければならない”と同友会ではいうが、僕の持っている葬儀の価値観で仕事ができなくなったら、僕はこの仕事をやめる」との言葉に葬儀屋としての信念と矜持を強く感じました。地域になくてはならない会社としてこれからの益々の発展を祈念いたします。

 

北はりま支部 広報委員