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株式会社北山石材

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会員名  

 

北山 登志紀(代表取締役)

所在地  

 

丹波市春日町野上野1番地

創業   

 

1924年1月

設立   

 

1994年4月

事業内容 

 

墓地工事・霊園分譲・石材建築工事・住宅外構工事・石工事に関わる土木工事一切の事業・一般建設業(石 土木 造園) ・兵庫県知事許可(一般-26)第752333号

従業員数 

 

17名(正社員10名 パート・アルバイト7名)

公式サイト

 

http://kitayamasekizai.com/

入会年月

 

2014年12月

事業内容及び企業の沿革

株式会社北山石材は、広島県呉市出身の創業者・北山政二氏が大阪で石工修行を積み、1924年(大正13年)兵庫県丹波市で創業されました。二代目・北山登氏は、創業者の技術を継承し、1960年代に入ってから、加工機械を取り入れることで、生産性を向上させ、地元に根付いた石材店としての礎を築かれました。

その後、1985年(昭和60年)に三代目の前社長・北山晶紀氏が事業承継されました。この頃から全国的な建墓ブームとなり、需要の増大に対応するため、海外からも原石を輸入し、供給体制を整備されました。

1994年(平成6年)には法人化と同時に、新工場を建設し、1998年に福知山店(京都府福知山市)、2003年に市島店(兵庫県丹波市)と約5年毎に店舗展開されました。霊園経営にも着手され、2004年に白毫寺霊園(兵庫県丹波市)、2006年にあじさい霊園(京都府福知山市)、2010年に桂谷寺浄苑(兵庫県丹波市)を開設されています。

会社は、今年で創業96年目、会社設立25期目を迎えられています。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

2005年〜2015年 墓石市場は縮小へ

墓石市場縮小の要因として「少子高齢化」「お墓に対する価値観の変化」などがありますが、もっとも大きな要因は「墓地整備が一巡し、新規需要が減少し始め、全国的な建墓ブームが収束に向かっている」ということです。消費者の意識が変化したことで、供養形態が多様化(オリジナル墓石・永代供養墓・樹木葬・散骨等)し、インターネットの普及により、消費者の情報化も格段に進んでいるそうです。

北山石材も、時流には逆らえず、年商は最盛期だった2000年頃を境に減少に転じ、2010年には最盛期の半分近くにまで落ち込み、会社設立以来の危機を迎えられました。

そんななか、北山登志紀氏の社長就任以降(2013年〜)、一般建設業許可取得・石材建築工事に参入(2014年)兵庫県・丹波市の公共土木工事への参入(2016年)、住宅外構工事分野への進出(2017年)と挑戦を続けられ、新分野へ攻める姿勢を貫き、年商は昨年度決算で、1億1千万円にまで回復されました。

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現在取り組んでいることについて

同氏は、時代に合わせて社業を進化させるため、2014年頃より「第二創業」に取り組まれています。競合他社は石材業を<供養産業の括り>と捉え、葬祭業進出を選択しましたが、北山石材は自社を<工事産業の括り>として捉え、「職人は技術で生きていく」仕事の原点に立ち返り、石工事の技術がそのまま生かせる石材建築工事・公共土木工事・住宅外構工事を「第二創業」の三本柱にされました。

社員に対して

社員とのコミュニケーションは、月1回の全社会議と半期に1回の個別面談以外、特別なことはされていないそうです。基本的に、社員とは一定の距離感を保つ一方で、社員のこと(プライベートを含めて)は徹底的に見て、ひとりひとりの考え方、行動、理想などをとにかく知っておくようにされているそうです。

同友会への想い

同友会に入会された当時は、「創業以来受け継がれてきた歴史と伝統を守っていかなければならない」という強い使命感にとらわれ、孤軍奮闘した結果、社員と噛み合わず、空回りばかりの日々だったそうです。

そんな時、友人の勧めで40才のときに同友会へ入会されました。入会以前は「オレがやる」という“強い使命感”で動かれていたため、「人を生かす経営」や「全員経営」といった同友会キーワードに強い違和感を覚えられたそうです。しかし、先輩方の報告を聞き、ブロック長、県理事と役職を経験していく過程で、自分ひとりでは何もできないことを実感し、関わる人たちの協力がいかに大切かに気づかれました。

社員を生かすために、社員をよく見て、話を聞いて、考え方を知り、ひとりひとりの想いから経営理念を絞り出されたそうです。人を動かせるのは、理念(思い)でしかない。気づけば、同友会理念にどっぷりハマった北山氏が生まれました。

今後の展望

「三方よし」=①「売り手よし」 ②「買い手よし」 ③「世間よし」 近江商人の心得

お客様に喜んでもらうこと、社会に貢献することはもちろん大切です。しかし、それらに先んじて、第一に「売り手よし」この会社ではたらく「従業員満足」こそが最も大切であるとおっしゃいます。お客様や売り上げを追いかけるのではなく、社員が高い技術を身に付けるため、社員教育を惜しまず、仲間と共に仕事を楽しむことで、質の高い仕事ができ、お客様と売り上げは自然と付いてくる。今期の経営指針書は、社員ひとりひとりの思いを尊重し、生き生きとはたらき、安心して生活できる収入を得る会社を目指されているそうです。

編集後記(取材の感想)

今期北播支部長をされる北山さんは、墓石市場縮小という外部環境の中で自社の売り上げが最盛期の半分にまで落ち込んだ危機的な状況に追い込まれましたが、建設業・石材建築工事・公共事業参入・住宅エクステリア分野への進出と挑戦を続けられ、昨年度は見事に黒字決算にV字回復させました。

危機的な状況に追い込まれる中でも、仕事の原点である「職人は技術で生きていく」という思いを持ち続けピンチを乗り越えた北山さんのお話は経営者としての覚悟を感じました。

お仕事のお話以外にも趣味のマラソンのお話も聞かせていただき、同じ北播支部で知っているつもりでいた北山さんの事をさらに知ることが出来る良い機会になりました。

 

北播支部 広報委員