会員企業訪問

VISIT

有限会社ハヤシ工務店

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

林 勝也(代表取締役)

所在地  

 

姫路市青山6-27-7

創業   

 

1972年7月1日

設立   

 

1996年6月

事業内容 

 

新築一戸建て、リフォーム・リノベーション等、地域に根ざした住まいづくり

従業員数 

 

6名

公式サイト

 

https://www.hayashi-kum10.jp/

入会年月

 

2007年10月

事業内容及び企業の沿革

建設業(木造住宅)ですが建設サービス業、つまりお客様のお困りごと解消業と謳っています。親方であり、創業者である父親の林巧氏の後を継ごうと決め、大工である父親に弟子入りし、修業のかたわら経営に興味があり1995年法人化をされました。

2005年に父の後を継ぎ代表者としてハヤシ工務店を経営されています。

一般的な工務店では、仕事を請け負ったら大工として仕事することが多いのですが、今ではハヤシ工務店では大工仕事をしないことを決め、職人に仕事を任せていくマネジメントをする業態となっております。自分だけの技術だけでなく、自社とつながっている人間の技術を駆使してお客様の求めるものを実現させています。昔はお客様より「あんたに任せるわ」と言われ、精一杯仕事をされましたが、今は「お客様のために技術を使う」ために自社で家を作らない宣言をされました。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

木造の住宅のマーケットは80万戸から50万戸まで減っており、その中にはアパート、マンションも含みます。これ以上減ると今の工務店は無くなっていくそうです。その対策として「求められるものを作れることが強み」であり、県内の資材で地産地消をしておられます。理由としてハウスメーカーは東京の会社が多く、地元である兵庫県が儲からない。本当に地元の経済を回しているのは自社でなく、それらを利用している人である。だからお客様はエンドユーザーでなくファーストユーザーという考えに気が付かれました。

プロの建築家では、つい、専門用語で話しをしてしまったりで、顧客目線で話すことができていませんでした。その時(6年前)に建築業界と全く関係の無い社員が入社されました。

その社員にも、わかるように話すことが本当の顧客目線であり、今でも顧客目線係として重要な役割を担っています。意外と何かの形で建築業界に関わっている方も多いのですが、お客様にはプロの建築家でなくプロの消費者になってほしいと考えておられます。

今でこそ、インターネットで調べれば様々な情報が出てきますが、上辺だけ知るのでなく物の見方(コスト、デザイン…etc)をお客様と共有することが重要であると捉えていました。

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

現在取り組んでいることについて

自社を知ってもらうためのイベントを多々行っておられます。地域のお祭りや、姫路駅前でのイベント、動画配信…など他社とは違うイベントを行っているそうです。まず自社を知ってもらうことと、入りにくい工務店のイメージを払拭します。そして家を建てたいと思った方に、木の家が欲しいと思ってもらう為に行っているそうです。地域の子供たちも参加出来るような内容で、成長したらいつかお客様になるかもしれない、家が欲しいと思った時に1番に思いつく工務店を目指すので、商売っ気は出すつもりは全く無さそうでした。

こういった祭りやイベントに限らず、10年続かないものはしないと決めているそうです。そして現に10年続いたから次は20年続けるつもりだそうで、最初に来ていただいた子どもが大きくなって訪問してくれたこともあったそうです。ビバ木造普及計画!!

社員に対して

現在、社員5名とアルバイト1名で経営されています。先程挙げました顧客係1名と職員3名です。

皆さんベテランさんで20年以上勤められている方もいます。1度だけ、30代の頃ケンカをしたことがありました。後々、自分と同じ仕事をする人間が欲しかったことに気づいたそうですが、社員がそこにカチンときて一言…「社長、僕に何を求めるんや」。そこで自分の考えをただただ押し付けていたことに気が付いたそうです。

今では、総論…OK、各論…NGと定めており、会社の向かう方向は指針書(総論)で定めており、どんどん意見を出してもOKなのですが、現場(各論)となると意見するのでなくどうやって実行するかを考えるようにしています。全体として、明後日の方向に向くことが無くなってましたが、10年経ってやっとしっくり来だしたそうです。行動が本来とズレてきたりしそうかと思いきや、全てチェックすること、数値化することを仕組化して防いでおられました。これは、お客様の望むものを作る仕組みであり、お客様との打ち合わせでは顧客目線係の社員を必ず連れていくこともそうです。

社長は大まかなプランを製作する。それを実現するために様々なプロを連れていく必要があり、知っていないとお客様の望むものが作られない可能性も大いにありえる。だから人脈は自社にとって必須とのことでした。

同友会への想い

やっぱ経営指針書!!とおっしゃられました。そして、異業種からのフィードバックも素晴らしいとのことで、やりたいこととやるべきことの区別が出来、やりたいことだけだと社会では存在価値が無くなっていくことに気が付かれたそうです。

年商、業種、何もかもバラバラな人たちばかりで、自分にはなかった考えもあったり無かったり…実践しても何か違うならどんどん変えてやってきたそうです。

今では経営指針書は7月から製作することに対して、昔よりどんどんシンプルになりつつあると感じられていました。自分が何がしたいのか考え、その裏付けがしっかりあればブレることは無いとのことでした。

今後の展望

人の役に立つこと!!ナチュラル&サイエンスを掲げておられます。ナチュラルとは自然です。地産地消を謳っている通り、兵庫県産の木材を用いて建設します。環境を元気にするために使用し、もちろんできるだけゴミにならないものです。そしてサイエンスとは科学です。高性能な住宅を作ることです。高性能とは省エネな住宅で、電気代のかからない家、耐震性の優れた家、長い時間住める家など総称してナチュラル&サイエンスを考えておられます。

そして、自社がずっと続いて子孫の代になっていったら全く違う事業になっているかもしれません。今までの常識は今後の非常識であると考えていて、理念はそのままにどんどん事業を変えていくかもしれないとのことです。「ハヤシ工務店が変わるならお客様は変わらない、ハヤシ工務店が変わらないならお客様が変わる」と名言を残されました。

編集後記(取材の感想)

記事には書いていませんが、色々なことに参加して学んで吸収し続けていてとても博識な印象を受けました。話せば話すほど穏やかな方ですが、きっと今に行きつくまでに悩みや衝突を繰り返してきて今があるように見えました。自分なりの哲学を持っていてもっと参考にさせていただきたいと思います。

オフィスも木の香りが漂う落ち着くオフィスで、自社でもこんな風にしてみたいなぁと感じました。言葉や歴史などもお話されましたが、どれも深い言葉でしたので少しずつ吸収していきたいとおもいます。

笑顔の気持ちいい林さんでした。

 

中はりま支部 伊勢田 駿佑(伊勢田薬品株式会社)