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株式会社ヤマヨ山本商店

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

山本 哲士(代表取締役社長)

所在地  

 

兵庫県神戸市長田区菅原通3丁目203-8

創業   

 

1925年(大正14年)

設立   

 

1953年(昭和28年)

事業内容 

 

豆腐・油揚等大豆加工品及びその他和日配商品の卸・小売販売

従業員数 

 

8名

公式サイト

 

http://yamayo1925.com

入会年月

 

2013年4月

事業内容及び企業の沿革

1925年(大正14年)に加西市で農家をしていた創業者の山本与一氏(山本社長のひいおじいさん)が神戸駅近くにて豆腐屋を開業しました。これがヤマヨ山本商店の始まりとなります。現在の社名は与一氏が自らの姓名頭文字「ヤマヨ」を暖簾や看板として商売の信用の基礎となるロゴや屋号に使用していたことに由来しています。

 

そして約80年前に神戸の中央卸売市場と長田の菅原商店街に店を構え、現在も主力店舗として商いをされています。2016年に先代社長である父の一三氏からバトンを受け継ぎ4代目社長に就任された山本社長。2025年には創業100周年を迎えます。

事業内容としては主に豆腐及び大豆加工品の卸売を営んでおり、またメーカーに製造を委託してプライベートブランドの豆腐の販売も行っておられます。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

日本人の食生活の変化で豆腐の需要は縮小していると思われがちですが、実は需要に関しては30年ほど前からそれほど減っておらず、むしろ供給側が事業承継や不採算などの問題で店をたたむケースが続出しているらしいです。いわゆる「町の豆腐屋さん」と呼ばれるお店や、安さだけでお客様をつなぎとめていた中小メーカーが淘汰されているのが業界の現状とのことです。

 

その中で豆腐業界でのヤマヨ山本の役割は安易に大量販売することではなく、お客様のことを第一に考え、お客様のお困りごとを解決する商いを目指しているとのこと。大量生産、大量販売が食品販売の基本とされますが、業界大手と違って自社が生き残るためには、人が面倒くさいと思うことを敢えてやる。お金を払ってでもヤマヨに頼んだほうが得だと思われる商いを心がけているとのことです。例えば顧客の病院・ホテル等の施設では限られたスペースにしか冷蔵在庫が置けないので、温度管理が必要で日持ちがしない商品は使用日ギリギリでの発注になります。なので当日朝イチの超短期でご発注を頂きお届けしないといけません。一例として、朝の3時に受けた注文を1時間後の4時には用意できる体制がヤマヨにはあるとのこと。

 

さらに8分の1カットや豆腐をパックから外して水切りして納品してほしいなど、お客様のご負担を減らすお手伝いの依頼は最近増えてきているそうです。そういう普通の大手メーカーなら提供できないサービスを敢えてやることがヤマヨの役目だとのことです。豆腐という一見どこにでもある食品に付加価値を付けて満足していただけるサービスを通じて、商品提供することが販売会社として大切だと思うと熱く語っていただきました。

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現在取り組んでいることについて

社員の人材育成に特に力を入れられています。同友会に入って社長がいつまでもプレイヤーでは会社に未来がないことに気づき、社長じゃなくてもできる業務はどんどん社員達に任せることで、成長を促しているとのこと。その効果が少しずつあらわれてか、山本社長は売上の拡大や利益の改善、社員の教育に力を注げるようになったそうです。

 

また豆腐は温度管理が必要なデイリー商品(毎日配達される商品)なので、毎日お客様の要望に応える販売店を目指したいということで、社員の休日をしっかり確保しながら会社としては365日営業ができる仕組みを確立したいとのことでした。

社員に対して

これからもっともっと社員に教育してあげたいと話されました。豆腐という身近な商品だからこそ「誰から買いたいか」が重要になってくる。社員全員がお客様から「この人から仕入れたい」と思ってもらえる魅力的な人材になってもらい、そういう社風でありたいと考えています。そこには必ずベクトルを合わせる教育が必要です。ただ、それ以上に自分の人生の中ではなかなか勉強できないような色々なセミナーや研修に参加させてあげたい。それが社員自身の明日の自分に繋がるのなら会社としてバックアップして共に成長しあえることを大事にしたいとのことでした。

 

今まで社員教育をまともにできる企業風土ではなかったのですが、同友会に入会して以降、山本社長が中心となり経営指針の会議や月1回の個別面談などで社員とコミュニケーションを密に取れる体制が整い、今後は全社員に画一的な教育をするのではなく、ベテラン・若手と年代に合わせた教育を行っていきたいとのことです。

同友会への想い

同友会に入会していなければ会社は潰れていたかもと語る山本社長。20代で入会され、互いに本音で議論を交わすブロック会・例会に積極的に参加するうちに、会員の皆が日々の努力と苦闘の中で経営をされていることを知り、共感を覚え、もっと同友会で学びを深めたいと思ったそうです。そして経営指針成文化セミナーやMG研修と様々な勉強会に出向き、学んだことの実践が今の会社の糧になっているとのこと。

 

特にMG研修は会社経営を学ぶのに大いに役に立ったそうです。また入会数年後に青年部に入会して、同世代の人たちとの関わりがすごく自分の刺激になっているそうです。

今後の展望

昨年から5か年計画を立て、自社史上の最高売上高を更新すると目標を明確にする山本社長。それを実現するための設備も既に整っており、あとは人材の積極的な教育と採用、新規開拓、そしてやり遂げる熱い気持ちだと話されました。

 

話の最後に次の100年の事業ために「商いの道を追求し、この国の繁栄と、人々の豊かさに貢献する」という経営理念を掲げ、ただ単に美味しい豆腐を売るのではなく本当にお客様の望んでいるものを用意して喜んでいただくことが自社の喜びでもあり、それが豆腐の専門家としてのプライドだと語っていただきました。

編集後記(取材の感想)

取材当日、インタビューは午前10時から長田本店だっだのですが中央市場の皆さんの働く写真を撮りに朝イチに市場の店舗にお邪魔しました。生まれて初めて朝の中央卸売市場を訪れましたが場内は活気に溢れ、山本さんのお店もとても忙しく営業されていました。その熱気に少し感動を覚えたほどでした。

またインタビューでは同友会好き好き人間の山本さんの熱い想いをお聞きして、ヤマヨ山本が常にお客様のために、業界のために、社会のためにどんな役割を果たせるかを考えていることに感心しました。山本さんお忙しいところをありがとうございました。

 

中神戸支部 株式会社平本商店 平本 久嗣