会員企業訪問

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株式会社エンブレス

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

前川 浩一(代表取締役)

所在地  

 

兵庫県西宮市甲子園浦風町1-12

創業   

 

1970年

設立   

 

1984年

事業内容 

 

労働者派遣・物流業務請負・広告業

従業員数 

 

200名

公式サイト

 

http://enbless.com

入会年月

 

2013年4月

事業内容及び企業の沿革

1970年 先代(お父様)が大阪万博パビリオン「東芝IHI館」

            設営業務を請負ったことをきっかけに「しかや商店」として開業

1971年 フォークリフトによる荷役作業の請負業として、大手物流会社との取引が始まる

1977年 灘五郷の酒蔵との取引が増えたため大阪から西宮市へ移転

1980年 ビールメーカーと取引開始(フォークリフト及び構内作業請負)

1984年 法人化「前川産業株式会社」

1986年 前川浩一入社

1989年 前川浩一代表取締役就任

2006年 労働者派遣事業許可取得

2009年 日本酒用空瓶取り扱い業務がゼロに

2012年 最大取引先のビールメーカー工場統廃合のため仕事が激減

      職業訓練事業、WEB制作事業を開始

2013年 同友会入会、経営指針づくり勉強会参加

2014年 経営危機

            社名変更「株式会社エンブレス」

2015年 職業訓練事業、WEB制作事業から撤退

            経営理念「まじめな人が安心して活躍できる社会を実現しよう」確立

            西宮市南部の工場・倉庫関係の取引に経営資源を集約するビジネスモデルにしたことから業績急回復

2018年 有料職業紹介事業許可取得

            広告業開始

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

ここ数年は、日本の労働者のうち2.5%前後が派遣社員という状況で、市場規模は2008年リーマンショック前の7.8兆円から2013年5兆円、2016年には6.5兆円となっているとのこと。エンブレスさんの主たるお客様は、ネット通販の影響もあって以前の酒類製造工場中心から物流倉庫中心に移っており、生産年齢人口が毎年約50万人減っていくなか、仕事は増えるので、慢性的な人手不足となっています。そこで派遣スタッフがやりがいを持って働ける環境をつくり、定着率をあげていくことを意識しておられます。すなわち、

①理念を追求する

②理念追求型ビジネスモデルを、社員と共に日々磨く

③社員とビジョンを共有し、日々の行動がビジョンの実現に繋がる。

①②③を順番ではなく同時に進行させることで、お客様のお役に立ち、派遣スタッフの所得が増え、会社の利益も出るという好循環をひたすら追求する姿勢は見事なものです。

そのおかげで本社社員の離職率が低く、年収も業界水準よりかなり上回っているとのことでした。

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現在取り組んでいることについて

前川さんはビジネスモデルを磨くというプロセスを重視しています。ビジョン実現委員会という活動を通じて、まずは経営理念の深い理解と共有、ビジョン共有を徹底し、その為にどのようにビジネスモデルを磨くかという具体的な議論を繰り返しています。プロセスをしっかり実行すれば結果(利益)は出るモデルを磨いているので、売上目標ではなくプロセス目標を掲げておられるのです。現在は新規事業を複数始動されつつありますが、それも既存の派遣事業から、お客様のニーズを汲む形で派生するもの、ビジョンを描く中に描かれるものに限定する形で手掛けようとしておられます。

社員に対して

会社は社員全員の生活の「砦」と考え、安心して働け、家庭の将来を計画できるように、この砦を守っていこうと常々話しているそうです。経営理念・ビジョンを一人ひとりが自分事として捉えられるように、しっかり定義付けて共有しておられます。

同友会への想い

支部においては西宮ブロック長を務めた後も地区のまとめ役として新会員の世話を焼き、県でも経営労働副委員長として後輩会員の良き相談役となっておられます。

「入会して、様々な勉強をさせて頂き実践することができた。ズバズバと意見を言う人が多いので、最初は怖かったが、めげずにぶつかっていくと、自分が成長できることが分かった。おかげで、経営の方向性が明確になり、無駄な行動が無くなった。これからは、自分の経験をもとに『私はこう思います』くらいは、人に伝えていきたい」と語ってくださいました。

今後の展望

直近では新事業として、地域の別業種を対象にした求人ポータルサイトの運営を開始されました。また、今後IRに関連する物流が増えると予想し、海外に物流倉庫を持つ計画をしており、4月よりフィリピンに出張所を置く予定とのことです。将来展望を尋ねると…

「自社の事業定義を『あなたの会社の人事部です』として、地域の求人、面接、採用、労務管理、職業紹介などの業務を広げていきたい。どんな個性の人でも、まじめでさえあれば、誰だって活躍できる。これを実現するために、現在取り組んでいる、生活困窮者自立支援に加え、障がい者が自立できるビジネスモデルも描いていきますよ」と力強く語ってくださいました。

編集後記(取材の感想)

経営理念に掲げる通り、「まじめな」人だなというのが誰もが持つ前川さんの印象ではないでしょうか。ひたすら理念を追求する為のビジネスモデルを磨く姿勢をもって自らを「ビジネスモデル男」と称しています(ちなみに阪神支部広報には理念男とビジョン女(前川氏命名)が在籍しています)。「株式会社を持つ(整った会社にしたい)、ハワイに行きたい」とおっしゃっていたお父様の想いもしっかり承継しておられるのもまじめな男の面目躍如ですね。(阪神支部広報)