会員企業訪問

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有限会社アートワークス

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

大段 奈保子(代表取締役)

所在地  

 

神戸市中央区割塚通5-1-45

創業   

 

1995年7月

事業内容 

 

オーダーメイド家具・什器の設計及び制作・内装仕上工事業

従業員数 

 

8名

公式サイト

 

https://aw-kobe.shopinfo.jp/

入会年月

 

2012年3月

事業内容及び企業の沿革

1995年7月、20歳の際に学生起業された大段奈保子氏。内装図面を書く仕事をお一人でスタート。その後雇用を進め、3年後、駅から近く工場部分を見学することができる現在の春日野道高架下に自社の製造工場を開く。そして家具職人を雇い入れたところから、徐々にオーダー家具製造をメイン事業とし始める。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

元々神戸には洋家具の文化がある。外国人居住者が神戸港の船大工に修理を依頼したのがきっかけである。しかし、それらの重厚な家具は現在の住環境には合わなくなっていること、嫁入り道具として家具を大量購入することも減り、クローゼット等備付家具が普及していったこと等から、家具の製造は少しずつ落ち込み、後継者不足もあり廃業するところも出てきた。その中で、それまでは店舗内装や商業施設の造作家具を製造していたが、インターネット草創期の20年程前という比較的早い段階で、一般顧客に対してのオーダー家具を打ち出し、現在の住環境に適したデザインやサイズの家具を作るようになり、仕事が増えることになる。

近年は、当初は脅威になるかと思われた低価格な大手家具企業の台頭で、“家具を購買する体験”をした人々が、「次はこうしたい!」という欲求からオーダー家具を求めるようになってきている。元々自らもデザイン・製造した家具で生活をした経験から「他の人たちもこんなことがやりたいのでは」と考え、オーダーは特別なことではなく、身近に使ってもらえるようなデザインをしている。

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現在取り組んでいることについて

業界の中では平均年齢が若く、30代後半~40代前半の職人が主力。技術の承継の為、更に職人の育成に力を入れている。また営業・設計・工場と分業が多い中、依頼から完成まで一括で請け負うことができることで、価格も抑えて、より相違なく顧客のイメージを具現化するということが強みであり、それらの能力が備わる社員を増やしていかねばならないと考えているため、今後も新卒採用も続けていく。

現在、春日野道高架下という地域が、様々な種の職人会社が集まる地域になりつつあるが、そのきっかけのひとつの企業でもある。従来、工場地域であった場所にお洒落な外観の会社を構えたことで興味を持つ企業が生まれ、徐々に増えてきた若い職人会社にオープンフェスなどの声掛けをしたことで、地域の結束や、興味のある外部の人へそれぞれの仕事を知ってもらえる場所となっている。これらの地域活動は同友会で学んだ 「地域と共に歩む」という自社のあり方にも活かされている。

社員に対して

当初は社内外注のようなイメージで、雇用はしているものの社員に対する熱い思いを持っていたというわけではなかったが、ある時に社員から“この会社での夢”を耳にし、それぞれの人生・背景を考えるようになる。それ以降「みんなの思うことを叶えていきたい」という気持ちに変化していった。自分自身も経営者であるが、いち生活者、妻であり母でもある、と大段氏。社員の子育てや家族、生活の変化での困りごと等はいつでも何でも言える環境にし、男性社員の育児休暇や、共働き夫婦の保育園の送り迎えの時間に配慮した勤務時間等、その都度就業規則を変化させ、対応している。

同友会への想い

7年前、会社としてのキャリアは積んでいたものの、経営指針や理念は無い状態だったが、「経営指針セミナー」で言葉にしたことで、その後の会社の動きが変わり、人材や利益を伸ばすなど発展のきっかけになった。

また支部でブロック長や副支部長、青年部や女性部での役を受ける事で、組織としての物事の動かし方や伝わり方、社員や中間管理職の気持ちを体感することができた。

女性部での女性経営者同士の意見交換も大きな意味を持つ。例えば女性経営者の悩みのひとつである子育てと会社経営の両立にも、経験者からアドバイスをもらえる。母親としての行動や時間的制約があったり、物理的に参加が難しかったりする人もいるが、時間を早める等工夫をし、環境を変えて学びの場を作っている。

元々大段氏も「経営者に女性も男性も差はない」と考えていたが、「男女の感覚はやっぱり違う」。つまずきやすいポイントも似ている。同友会の各委員会活動等と同じく、同じ課題を持つ人が集まりやすい場の方が効率よくサンプル収集や問題解決ができるということである。

今から起業しようとする女性や女性経営者へは「女性だから・若いから・お母さんだからできないと思うことは何もない。やりたかったらやればいい。男性でも壁にぶつかることはある。やらないよりやってから考えた方が絶対いいと思います。何とかなる!」とコメントされた。

今後の展望

これまで少しずつ会社が成長し、起業時に思い描いたことはある程度実現しているが、これ以降は経営者として「大きな夢」を語っていく必要があるという。皆がもっといい仕事をしていくために、自分自身だけの思いだけではなく、社員の考えも聞きながら、共に大きな夢を見つけていきたいと考えられている。

大段氏は今年第3子をご出産されたが、子供を産むたびに仕事もどうしても制約が出ることもあるが、その「踊り場」の時間も受け入れられるようになった。今後も社員含め色々なことがあるだろうが、その都度みんなで考えていきたいと語られた。

編集後記(取材の感想)

大段さんの鋭い視点と柔軟さが印象的でした。経営者として、そして母としてぶれない姿勢は、自身や社員さんそしてお客さまの思いと人生を大切に考えられているためだと感じました。大段さん貴重なお話をありがとうございました!

神戸中央支部 土井 絵里奈