会員企業訪問

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廣本産業株式会社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

広本 辰典(代表取締役社長)

所在地  

 

兵庫県神戸市中央区栄町通5丁目2番15号

創業   

 

1926年(昭和初年)

創立   

 

1946年(昭和21年)

事業内容 

 

提案型機械工具卸売(切削工具、研磨・研削、工作用機器、機械設備)

従業員数 

 

32人(正社員31人、パート社員1人)

公式サイト

 

http://www.hiromoto-kk.co.jp/

入会年月

 

2007年7月

事業内容及び企業の沿革

 広本さんはご祖父様(廣本龍郎氏)が1926年(昭和初年)に個人企業として砥石を扱う商いを開始した会社の4代目社長です。1946年(昭和21年)に廣本産業株式会社を設立後、ご祖母様、お母様と受継がれ、今では提案型機械工具の専門商社として地元のものづくり企業だけでなく各営業所を拠点に幅広く切削工具、研削工具、機械加工設備等を納入されております。
 特に航空機産業で製作される部品の加工で必要不可欠な特殊切削工具も取扱いされている老舗商社です。創業者のご祖父様、ご祖母様(廣本ウメノ氏)から常々「足るを知る、ゼイタクは敵」との言葉を教訓に歩んでおられます。

外部環境の変化(コロナ禍)での対策取り組み

 昨年はコロナ禍の中で売上がダウンする状況ではあったが、社員の士気は高く「今の状況下だからこそ種まきをしたい」、「休業補償を受けてまで休みたくない」等、四半期毎の決算で最高益が出る状況で2021年度は更に地に足を着けた営業活動をされています。
 顧客先によっては週3日の休みを取られるところもあり対面での営業活動が難しい為、リモートでの営業、IT化(DX)を取り入れて現在システムを変えて業務を進めることで競争力を増す戦略を絶えず考えられておられます。また経営指針書については成文化と言った難しい言葉(文章)ではなく図式化することで図とインパクトのある言葉で表現をして、方針、計画が全社員に一目で思 いが届くよう工夫をされています。

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社員に対しての現在の取り組み

 現在、同友会活動では県委員会の一つである障がい者委員会の委員長を受けられ、『人を生かす経営』を実践されています。またSDGsの『貧困をなくそう』の取り組みを生かして本社ビルの一室を改装して社会的養護の子供、社員のコミュニケーションの場として提供をしておられます。この取り組みは高校時代のサッカー部監督の言葉、「怯まず、驕らず、溌剌と」を実践した結果であり行動理念の「至誠:人に誠実、自分に誠実、仕事に誠実」を軸に常に体の真ん中で考えて行けば、解決できない事は無いとの思いを社員と共有されております。障がい者雇用を実施することにより社員一人一人が全体を見る目が養われる様になり、仕事のポジション(適材適所)を的確化し、ご本人も周りの社員にも変化が現れ現在では笑い声の絶えない喜びに繋がっています。目に見えない力が得られていると実感されています。「アカンって誰が決めるの?」との思いから『人を生かす経営』を図式化した 『ひとつぼしプロジェクト 〜 きっと ひかる そのときをまっているからね 〜』に広本さん、社員皆さんの優しさが集約されています。

同友会への想い

 障がい者委員長を2年務め2021年度の3期目を迎えるにあたり委員会の組織を『障がい者グループ』『児童養護グループ』『就労困難者グループ』の3つに細分化するとの方針を立てられています。細分化により活動の方針がより明確化し、障がい者委員会へ参加して頂いている会員さんが自社との関わりの深い分野で活躍される場を作っていきたいと考えられています。広本さんは児童養護施設をバックアップしていくポジションで同友会活動に取り組んで行きたいとの思いで、既に前文で記載しました取り組みを実践されています。

今後の展望

 事業においては品質の良いドイツ工具メーカーとのパートナー取引を進めている最中にコロナ禍となり、2年の延期をせざるを得ない状況ではあるが、引き続き輸入に向けて進めて行きたいとの思いで継続中です。また、障がい者委員会活動、SDGsの取り組みを踏まえ神戸市だけでも年間30〜40人いる18才で児童養護施設を退所し、いきなり自立を迫られる子供達を一人でも多く支援できる企業活動を行っていきたいと言われておりました。 

編集後記(取材の感想)

 広本さんへの取材で経営理念、経営姿勢、行動理念、営業 戦略の全てに「人を生かす」の思いが込められていました。 人を大切に、人の力を引き出し、人の人生をも考える経営を柱にされています。障がい者を雇用する事で、取り巻く社員が変わることが大きい。それによって本人もどんどん成長する。実際事務所の1階でその社員が働いていると聞いて驚きました。案内してくれた社員さんが正にその当事者の方でした。成長した結果を目の当たりにし、広本さんが語る意味が大変よく理解できた気がしました。
最後に「地域で起こる問題を解決できない中小企業に存在意義はないのではないか」の一言が心に刻まれました。読者の皆様も自社の取組の中で少し目を向ける方向を変えてみて頂ければ『企業(自社)ではできない』、ではなく『企業 (自社)でもできる!』に変わると思います。チャレンジし続けることの大切さがわかった取材でした。

 

中神戸支部
新神戸ウェルネスクリニック 副代表 遠藤 康弘
松尾技研株式会社 代表取締役 長谷川 博基