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株式会社亀山鋳造所

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

亀山 晴代(取締役)

所在地  

 

兵庫県揖保郡太子町原519

設立   

 

1946年

事業内容 

 

自動車プレス金型鋳物・産業・工作機械鋳物の製造

従業員数 

 

72名

公式サイト

 

http://www.kc-kameyama.com/

入会年月

 

2015年5月

事業内容及び企業の沿革

1946年に姫路市大津区で創業。1953年に法人化し、1962年に現太子町に事務所と工場を移転しました。現社長の父が3代目で私は2018年4月に入社致しました。

業務内容は、主に自動車のパネルをプレスする際に使われる上型・下型の鋳物を製造しています。重量にして約1~3トンクラスの物が主になります。日本の国内自動車メーカーはすべてお付き合いがあり、九州~北関東まで全国で利用して頂いております。また一部海外メーカーもあり、売上の90%が自動車用金型鋳物の売上です。

他にも産業機械用部品なども製造しています。また、2017年にインドネシアに現地の会社と合弁で鋳物会社を設立、日本の本社と全く同じ「プレス金型用鋳物」を製造し、現地に進出している日系企業を中心に供給しています。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

鋳物業界は米中貿易摩擦が起きた2019年から、実はじわじわと生産が減少しており、その後のコロナでした。最初は影響がなかったのですが、2020年のゴールデンウィーク以降ピタッと動きが止まりました。その後、動きがあったり止まったりの繰り返しでしたが、2021年3月以降はコロナ以前に回復しており、今は各自動車メーカーが総力を挙げて開発に取り組んでいます。

鋳物業界では同業が倒産した話はよくありますが、新規参入はほとんど聞いたことがありません。「生き残ったもの勝ち」的な業界です。そのため、コロナ禍前にはあまり引き合いのなかった小物製品など、問合せが多く来るようになりました。

最大の課題としては、全世界がCO₂削減の方向にすごい勢いで動いている事により、鉄スクラップをはじめ、あらゆるものの価格が高騰していることです。この状況をどのように強みに生かし、環境に適応し、図太く残っていくかが当社の生きる道です。

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現在取り組んでいることについて

今まで会社の方針や考え方は、TOPダウンで社員に伝える経営方針でした。

「早い、安い、うまい」を全面的に売りにしてきましたが、今は、品質を上げ付加価値を上げ、お客様に単価を上げていただく事を納得していただけるような、そういう会社を社員全員で作り上げていこうとしています。

2017年6月、社長がインドネシアに行った直後に台風が来ました。その時に台風対策マニュアルが無く、大変なことになってしまったという経験から、すべては社長の指示のもとに動いていたことを痛感しました。その後社員で台風対策マニュアルを作成したところ、次の台風には難なく対策が打てました。そんな小さなことから、すべては仕組みで回すことが必要であることを実感しています。

本年度の指針書では管理部門と製造部門を分けて、管理部門の役割を明確にすることで、より良い製造部の生産に寄与できるように動いています。

「早い、安い、うまい」の「うまい」の部分に着眼し、仕事の受注が少し減って時間が出来たこのコロナのタイミングで、品質のコンサルタントを入れ、社内に「品質向上プロジェクトチーム」を立上げました。品質を上げるのは自分達であるという信念を持つこと、品質は地道に作り上げていくものである、やっとそこに向かいつつあります。社長がインドネシアへ行ってしまったからこそ、このやり方しかないと決断できたのかもしれません。

社員に対して

今はすべての工程が以前よりスムーズにいくようになってきたと思っています。毎月600点ほどの製品を生産しているのですが、1つたりとも同じものがない中で、これをミスなく作るのは芸術品を作る芸術家だと思っています。その頑張ってくれている社員に、少しでも働きやすくて健康で働き続けてもらえるような職場作りを心掛けています。そして今後、いい会社になったと社員がプラスにとらえてくれると最高です。

同友会への想い

同友会との出会いは2015年バイオリンの教室を個人で開いていた時です。

2017年に社長がインドネシアの新工場の立上げのために日本を離れてしまい、社長不在になった会社を見て、私の力をここに注ごう!と決め、バイオリンを辞めてこの会社に入りました。そもそも同友会に入っていなければこういう考え方にはならなかったと思います。

曾祖父から祖父へ受け継ぎ、そして父と母が人生を懸けて守ろうとしている会社を、後世に引き継いでいかなければならないと思いました。

組織のことを全く知らなかった私に、同友会の経営者のみなさんは自社の事例と亀鋳に合った話をしてくださいました。困ったことは同友会の仲間に聞く!これが私の救いでもありましたし、これからもそうだと思います。

そして、社長が同友会に入会した当初から作成している経営指針書を毎年ブラッシュアップし続けていることが何よりも大切なことで、そこに私自身と会社の進歩があると思っています。社長も私も同友会に入会して変わりました。本当に親子2代で同友会信者です(笑)。

今後の展望

先程も言いましたが、社員が少しでもいい会社になったなぁと思ってくれる様にいい環境で働ける職場にしていきます。そして今後は、工場の新設や、利益を上げて社員に還元出来るように頑張っていきます。76年も続いている会社がインドネシアに社長が行ったことで潰れるなんてありえないし、次の世代につなぐために頑張っていきます。

私生活では、「自分自身が幸せであるか」を軸に突き詰めていきたいと思っています。

会社も仕事ももちろん大切ですが、仕事だけには生きない人生を過ごしていきます。

自分の経営指針書も作っていきたいです。

編集後記(取材の感想)

コロナなど外部環境が逆風に吹く中、空いた時間を使って鋳物の品質と生産性向上に取組むために外部の意見も取り入れながら「品質向上プロジェクトチーム」を社内で立上げ、付加価値を高めていく取組が素晴らしいと思いました。亀山さんは最初、バイオリニストという全く違う職種から、お父さんのインドネシアへの挑戦を後押しするために自らの仕事を辞めて、会社の経営を一から行っていることも驚きです。

同友会のみんなから組織の在り方や経営指針の大事さを教えられ、社員を中心の経営を心掛けています。これからの亀山さんと亀鋳の取組に目が離せません。

西はりま支部 感動会社楽通株式会社 田村 慎太郎