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有限会社目見田商事

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会員名  

 

目見田 純也(代表取締役社長)

所在地  

 

兵庫県宝塚市高司2-16-15

設立   

 

2000年6月16日

事業内容 

 

新車・中古車・車検・保険・板金・レンタカー・コーティング・カー用品

従業員数 

 

30名

公式サイト

 

https://himawari-ss.com/

入会年月

 

2012年3月

事業内容及び企業の沿革

目見田純也氏は、ガソリンスタンドを先代の父から引き継ぎ、発展を続ける有限会社目見田商事の社長です。

ガソリンスタンドの引き継ぎ前は、東京で「ニート」をしていたそうですが、2003年に宝塚ひまわりSSをオープンし、当初は、洗車チケットの販売と徹底した顧客管理で、事業を拡大していきました。

ガソリンの販売が中心であった事業において、2007年には車検サービス、2009年には新車の販売とガソリンの販売以外の事業にも乗り出し、売上を拡大していきました。そんな目見田氏ですが、2012年ころ、ともに目見田商事を支えてくれた友人が退社し、 他の社員の方とも険悪な関係で、本人曰く「人として未熟+経営者としてポンコツ」だったそうです。

このころ、目見田氏は、プライベートでは離婚を経験し、仕事では倒産の危機を迎えるという暗黒時代を経験されました。

そのような苦境を乗り越え、「全社員が自らの行動に誇りを持った幸せな人生を実現する。」という経営理念に至り、1店舗あたりの車検台数「日本一」になった目見田商事の目見田氏に迫ります。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

目見田商事と同業の各社が年々車検の台数を減らしていく状況にあるなか、自動車やガソリンといった業界の状況について、目見田氏の思いをうかがいました。

「確かに、同業の各社については、通常は車検台数が年々減ってきていますが、我々にとってはそのことはあまり重要なことではありません。そこは、我々の在り方と大きくかかわる部分です。我々は、あくまでも、会社の周辺半径2キロ以内の範囲のお客様に、常にお客様の立場にたった目線で、地域のお客様に車を通じて安心をお届けするという在り方をとっているからです。お客様の「真」の要望を汲み取り、「分かりやすく、親切に」説明する。そのためには、徹底的にお客様やお客様の車に関する情報については管理する必要がある。お客様への一つ一つの対応を履歴として残しておくことでそういった情報を管理しています。こういう考え方でいると、まだまだやれること、やるべきことはあるし、自動車業界の一般論はさておき、会社の周辺半径2キロ以内の範囲については、外部環境が当社にとって大きな影響を与えているわけではなく、自分たちで外部環境を設定し、そのなかでやれることをどんどん深めているのが現状です。」と目見田氏は熱っぽく語りました。

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現在取り組んでいることについて

現在の取り組みついて、目見田商事は、もともとは、ガソリンの販売が売上でも利益でも大きな割合を占めていましたが、現在は、車検の利益が大きくなっているといいます。会社から半径2キロ以内のお客様というのをテーマに、徹底的なチラシの配布と来店くださったお客様の情報を合わせることで、3,000人を超えるお客様の情報を管理しているとのことで、そういった情報について、何を見て来店してくれたのか、既存のお客様か新規のお客様か、どんな理由で来店してくれたのか、どこに住むお客様か、分析を行った上で、地図上に落とし込み、地域や期間ごとに、チラシの製作や人件費の総和と反響の効果測定を行い、費用「台」効果を測定しているとのことでした。

「これは、売上や利益のためというよりも、チームで仕事をするからこそ必要なことだと考えています。私たちの仕事は一人では成り立たないから。チラシをポスティングするパートさん、接客をする人、整備をする人と一人ひとりが違う役割を担い、皆の連携があって、初めてお客様に質の高いサービスを提供できます。だからこそ、業務プロセス=それぞれの役割・状況がきちんと見えるようにしておくことは重要。プロセスごとの成果が曖昧だと、自分の仕事が本当に役に立っているか分からないし、お互いの状況が分からないと助け合えません。

直接お客様に接する人やクルマに触れる人だけでなく、すべての社員の仕事ぶりが正しくほめられるためにも、プロセスの可視化にこだわっています。」と目見田氏は語りました。

社員に対して

目見田氏は社員の内発的動機を大切にしています。「何のために働くのか?」「自分の人生をどう生きるのか?」を考えてもらいたいと目見田氏は語ります。これは、組織運営において、仕組みよりも必要なことであり、「何のために働くのか?」が満足や幸福に軸をおく考え方であって、これを全員が考えることで、仕事を通じた鍛錬、人間的な成長、そして、幸せな人生につながっていく、という目見田氏の考え方です。

そのために、さまざまな仕組みを用意しており、毎朝2店舗同時で朝礼を行い、1分間スピーチ【立命宣言】を行っています。自分の人生をどう生きるのか?というテーマです。その他、毎月の会議や年二回の社長面談も行っています。目標達成や給与の金額、休日、などの待遇は目に見える(具体的)のですが、何のために生きるのか?働くのか?は抽象的な概念です。

どっちが大事というよりは、何を大切にするのか?というバランスが大切で、それを社員一人ひとりが自主的に考えられる人に成長してもらいたいと考えています。

そう語る目見田氏からは、真剣に社員と向き合い、社員の成長と幸せを心から願う姿勢が伝わってきました。

同友会への想い

目見田氏にとって、「同友会と会社経営は不可分一体」。「少し難しいかもしれないことを同友会でチャレンジし、自社でもチャレンジするようにしています。同友会の活動の中で、自分の暗黒時代に深く関わってくれる人がいました。そういう存在は、今になって考えるとほんとうにありがたい存在であったし、自分自身も社員と深く関わり、社員にとってのそういう存在になりたいと考えています。開業した当初は、儲けることしか考えておらず、多少、自分にはセンスがあると思っていい気になっていた部分があるかもしれませんが、あの暗黒時代に、社員を全員お盆休みにして、一人でガソリンスタンドを運営してみて、いろいろな気づきがありました。世のため、人のためという考えも、同友会を通じて身につけたものです。」と目見田氏は語ってくれました。

今後の展望

昨今のコロナ禍で、目見田氏は自社の株式を100%取得することになりました。

また、コロナ禍だからこそ、思い切り理想を語ることができ、事業が加速度的に進んだと言います。今後は、新車、特に軽自動車の新車販売に力を入れていきたい考えとのことで、新車販売に向けて、ディーラーの空き店舗を徐々に探しているそうです。

また、「全社員が自らの行動に誇りを持った幸せな人生を実現する。」という経営理念に向かって邁進する目見田氏は、既存事業の枠を大きく離れるような事業も計画しているとのことでした。

編集後記(取材の感想)

目見田さんは、その見た目のままに大変な熱量で会社経営に取り組まれていることが強く伝わってきた取材でした。

どうすればうまくいくか、という「やり方」の部分より、どうあるべきか、どう考えるべきか、という「在り方」の部分にこだわる目見田さん。それでいて、社員を巻き込み成果に向けた行動でたゆまず進み続けている姿勢には、経営者としての一つの形が見えた気がしました。

阪神支部 広報委員 リブネクスト株式会社 山内 康司