会員企業訪問

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キクヤ交通株式会社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

大久保 泰介(代表取締役)

所在地  

 

神戸市長田区梅ヶ香町1丁目17-14

創業   

 

1950年

事業内容 

 

一般乗用旅客自動車運送業(タクシーサービス 業)、一般車両メンテナンス

従業員数 

 

130名

公式サイト

 

http://www.kikuya-kotsu.jp/

入会年月

 

2017年9月

事業内容及び企業の沿革

1950年創業、神戸最古参のタクシー会社。現在36歳の大久保社長は三代目にあたります。元々経営者になるつもりはありませんでしたが、29歳になってキクヤ交通に入社。現場のドライバーの管理をしながらポータルサイトの登録やホームページの更新を行い、知名度の向上と集客に努めました。31歳で取締役に。総務経理を担って決算書作成や日々の経理業務を行うようになりま した。33歳で代表取締役就任。設備投資に力をいれ、カード払いや電子マネーなどのキャッシュレス決済をい ち早く導入。また、配車アプリを採用することで利便性 の向上を図るようになりました。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

コロナ禍により売上は半分程度にまで激減しましたが、雇用調整助成金を活用することで雇用を維持しました。車両の50%を稼働させることで経費の削減、また、感染症のリスクを低減する施策を徹底実施して社員たち の安全と生活保障を図りました。「社員を守る」という 姿勢は社内に浸透し、社員の定着率が上がったそうです。 

業界全体でも、次世代の経営者への代替わりが行わ れているところなのだそう。新しいことへの取り組み の意識は高く、企業間の垣根を越えて広報委員会を設 置。ランディングページや動画の作成、Facebookや Instagramの活用を通じて、タクシー業界の実態を伝え ていくなど発信に注力しているところです。

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現在取り組んでいることについて

評価制度の改革に取り組んでいます。また、売上によって給料が変わる業界ならではの特性を生かして、働き方の多様性に対応できるようにもしたいと考えています。た とえば、年間無事故で売上の良い人だけを表彰していた 制度を改め、評価を細分化、「様々な働き方や頑張りを 認める」風土へと変貌を遂げました。表彰(金一封)な ども手渡しで行うことで、コミュニケーションの質を高 め、モチベーションを高めていく雰囲気作りを意識され ています。

景気変動やコロナ禍など、外部環境の影響を受けやすい業界。そういった変化にも柔軟に対応できる相対評価 を用いることで、経営基盤を固めながら、それぞれの働 き方を評価しているそうです。 

「アプリを利用される方が増えて、お客様からの評価を もらいやすくなりました。毎回忘れ物を確認するとか、挨 拶を丁寧にするとか、接遇面を意識させることで何かひと つに習熟し、次のレベルアップを目指していくようなチー ムになりたいと思います。一人ひとりがちょっとずつを積 み重ね、ちょっといい会社になる。そんな風でありたいですね。」

社員に対して

「会社がいま存在するのは、社員さんたち、皆さんのおかげ。支えてくれた存在です。ただ、今までと同じやり方では今後も存続するのは大変。変化していかなけれ ばらないこれからを、一緒に考え、一緒に良くなってほ しいと願っています。会社の看板があることで仕事がし やすいという組織にしていくので、どうか皆さんもま た、会社の看板を生かした働き方に取り組んでください。」

同友会への想い

「普通の会社にしたい」と語る大久保社長。そのために同友会をどのように活用されたいとお考えでしょうか。

「理念を追求することが、普通の会社なのだと思います。先代が手をつけてこなかったこと、コンプライアンスへの意識向上や社内制度の改革などに取り組むことで理念経営を目指していきたいですね。同友会の存在は、いま、自分が取り組んでいることと比較がしやすく、物差しだと考えています。必要なものを上手に取り入れて、組織の血肉にしていきますよ。」

今後の展望

様々な外部環境の変化により「正直、会社は傷ついている」と話しながらも、大久保社長の瞳から輝きが失われることはありませんでした。「ちゃんと、腰を据 えて本業に勤しんでいきたいんです。もちろん、時に は数字で判断して勇気ある撤退や転換が必要なことも あるかもしれません。ただ、どんな外部環境の変化が あったとしても世の中の需要がなくなることはありま せん。ちょっとした違いを明確にしていくことで、地 域のお客様から選ばれ続ける企業を目指していきたい んですよね。“ちゃんと、ちょっとを続ける会社”とし て存続してみせますね。」

編集後記(取材の感想)

まだ若い大久保社長。すこしだけ遠くを眺めるような表情で私たちの取材に応じてくれるのが印象的でし た。若さは時として危うさを伴いますが、大久保社長 はちゃんと未来を見据えて、その逆算で今、何を成すべ きかということを緻密に考えておられました。今は未来 につながり、未来は今の積み重ねによって作られてい く。当たり前のことですが、数字だけを追いかけるので はなく、理想を強く抱くことの重要性を再認識させられ ました。私たちは何のために事業を営むのか。その想 いをまた、皆で語り合っていきたいですね。 

西神戸支部広報委員 西端、吉野(加藤)、谷口