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株式会社芳地商店

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会員名  

 

芳地 仁志(代表取締役社長)

所在地  

 

神戸市中央区花隈町13-6

創業   

 

1919年7月

事業内容 

 

酒類小売販売(業務店向け)、飲食店経営

従業員数 

 

2名(パート・アルバイト5名)

公式サイト

 

http://www.houchi-sake.com

入会年月

 

2009年10月

事業内容及び企業の沿革

芳地商店4代目社長。神戸市中央区花隈町で酒屋と居酒屋を経営。

メインは酒類小売業いわゆる街の酒屋さん。創業大正8年、2019年7月に100周年を迎える。 

飲食店「のんでこー屋」は3代目の先代が2000年に酒屋の倉庫を改装し開店。 

某空調メーカーのグループ会社で空調設備の設計担当。その後、家業を継ぐ気はなかったが父親の入院が きっかけで2006年4月に入社。経営指針勉強会の受講がきっかけで2012年4月に4代目の社長となる。 

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

創業から戦前までは芸者街として賑わっていた花隈。戦前は料亭などの業務店への卸売がメインだった。戦後、料亭からキャバレー、スナック、クラブへと遊びも変わり、商売の中心が三宮に移っていく中、卸先のメインが三宮の夜の商売へと変わっていく。さらに阪神大震災後、スナックが衰退し、酒販業界もディスカウントが流行りだし、価格競争へ巻き込まれるようになった。日に日に、お客様も減り倉庫がガラガラになっていったので先代は自分で飲食店を始めることになった。芳地氏が実家に戻ってきた頃にはスーパーやコンビニでも酒の取り扱いが増え、ますます一般的な缶ビールやお酒では勝負ができない、何より仕事冥利につきないと思い、生産者の顔がわかる日本酒の専門店を目指すことになった。

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仕事への想い 

取引先を少しずつシフト移動、飲食店やホテルに地酒、焼酎で全体売上の48%を卸売。 

元々値段は安くなかったが取引してくれているお客様とは信頼関係でつながっていると思っていた。しかし、値上げを依頼するタイミングで手のひらを返されたように、酒屋を変えられ5、6件取引先を失った事が精神的にショックで、地酒だけでもお付き合いをお願いするも有名な銘柄の取り扱いがないと断られる。 

確かにお客様は獺祭や久保田など有名な銘柄を好むが、有名な銘柄以外でも美味しい地酒はたくさんあり、それを皆に伝えたい想いで仕事をしていたので、この言葉がとても悲しく帰りの車中で悔しくて、酒蔵さんの顔も浮かんできて初めて涙した。 

仕事も家庭もうまくいかなくなり、ある人から「おまえが同友会の活動ばかりにうつつを抜かしているからや」と言われて、一旦同友会を休会して本業に専念しようとしたが、同友会の尊敬している先輩から「チャンネルだけでも開けておけば情報は入る。休会して本業専念するといって戻ってきたやつはいない。困った時こそ必要なのは仲間」とアドバイスを受け休会は思いとどまることに。 

同友会への想い

入社してから任された飲食店には店長、料理長がいた。年上で接し方や指導方法を試行錯誤するが、結局退職される事に。経営を学びたいと思っていたタイミングで先代と親交があった方と出会う。ゲストで参加した例会で先輩に「おまえみたいなやつは、今入らないと会社は5年後に潰れるぞ」という激しい言葉に感化され入会。 

2年くらいは幽霊会員だったが、経営指針勉強会への参加、青年部にも所属し徐々に参加するようになった。経営指針勉強会では、経営不振を先代のせいにしていたら懇親会で説教をされ、青年部では、仲間から愛の鞭をいっぱい頂き、業界内の常識は世間から見ると非常識であると痛感し、もっと勉強したいと思い、同友会にのめり込んでいく。 

ある先輩にかわいがってもらい、2013年から年に1回、1年間成長したかを確認してくれる場を設けてもらっている。未だに継続、宿題を出して頂き、1年前進する環境を作ってくれている。大変感謝している。 

取引先の80%が飲食店向卸、自社で飲食店も経営していることから今回のコロナ禍による影響は尋常でなかった。一番ひどい時は例年の9割売上がダウンした。うなされて寝ることができない日もあった。しかし、同友会に入会していることで仲間から色んな情報を頂いたり、はげまされたり、同じように苦しんでるけど前向きに頑張ってる先輩の姿をみてモチベーションを保つことができた。 

同業者をベンチマークに行ったり、色んな助成金制度を利用したりして、店舗はコロナ前の1.5倍、ネット販売も増えてきた。使える制度は利用し今のところ借り入れしたお金には手をつけず何とか生き延びることができた。

今後の展望

日本には本当に美味しい地酒がたくさんあり、それを伝えるのが私たちの仕事。専門店としてその道のプロとして究め続けたい。酒蔵さんの想いをきちんと伝えられる酒屋として人材教育に力を入れる。飲食店部門も酒屋が経営している強味を生かした、魅力的な店舗づくりをしたい。料理や土地に合った日本酒を提案できるようにしたい。 

共同求人委員会、人材育成委員会に所属しており、やってみたい新卒採用、まだまだ出来てない人材育成など課題は山積みですが、愚直に成長していきたい。

編集後記(取材の感想)

今回インタビューをさせていただき大変勉強になりました。 

芳地さんの酒屋としての想い、飲食店としての想い、同友会に対しての想い、その全てに感服致しました。

芳地さんの同友会活動を通じて、成長を先輩方が見守り、宿題をクリアしていく。「経営」の根本を学び続ける場所がここにあると感動しました。 

サービス業の弊社として、在庫をかかえることはデメリットと考えがちでしたが、商品販売に生産者の想いをのせ、お客様にも喜んでもらえる酒類販売は素敵な仕事だと思いました。 

私は同友会に入会して4ヶ月で、まだまだ勉強し始めたところですが、スポンジのように沢山の事を吸収していきます。 

同友会の学びが自社にポジティブな結果をもたらす事だと確信しましたので、引き続き同学びを深めていきます。 

 

神戸きっかけ 小藪 大輔