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株式会社ニッピ機械

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会員名  

 

青田 崇(代表取締役)

所在地  

 

加西市下宮木町767-1

創業   

 

1947年3月

事業内容 

 

皮革加工機械の製造、販売

従業員数 

 

30名

公式サイト

 

http://www.nippy.jp/

入会年月

 

2017年4月

事業内容及び企業の沿革

1947年姫路で創業し、戦後姫路がアメリカの空襲により焼け野原になったため、衣服を作るミシンも全て焼失したことを受けて、祖父がミシン部品の製造を始め、その数年後、姫路といえば「革」ということで、皮革を加工する機械製造を開始しました。

 

国内外で皮革製品の量産化ニーズの高まりに伴い、父の代で加西に移転し内製化が図れるように、積極的に設備投資に力を入れた結果、生産の下地が出来た事で、不況や仕入れ先の廃業、原材料費の高騰の外部環境に対し、75年間会社が存続できているのだと父に感謝しています。

 

大学卒業後、製品やブランドにより優劣が決まる業種ではなく、私自身の力量で勝負したいと思い商社に就職しました。そこでは、新人ながら自動車メーカーとの折衝、新規開拓を任せて頂き、若輩者で、勢いだけが取り柄の私に、掛け替えのない経験を積ませて頂きました。

 

その3年後、祖父が創業し、父が経営するニッピ機械に25歳で入社しました。入社間もなく、組立を学んでいた時、出会ったある財布職人の考え方で、私がニッピ機械で働く目的が明確になりました。

 

私は財布を選ぶ際、収納性やデザイン性、価格に注目し判断していました。しかし、作り手、その財布職人の拘りは、カードの出し入れのし易さや、財布が破損し難い工夫と、使用者が気付かない細部まで気配り尽くした「モノづくり」で、これは顧客からの品質要求ではなく、その職人の気配りであり、職人からの使用者への愛だと感じました。その時に受けた感覚は、商社時代では味わえなかった新たな感覚でした。

 

私達の機械も、この様な作り手に使い続けて頂きたい。そこで、職人の要望であった、機械、部品の継続的な供給に応える為に100年企業を目指すことを決意しました。

 

そしてニッピ機械は、75年間顧客に恵まれ、育てて頂きました。

業界の状況、外部環境の変化とその中での対策

神戸の震災後、海外製の皮革製品の増加に伴い、国内製造業者が海外に移転し、更に海外市場では中国製の機械の台頭により市場競争が厳しくなっている中、リーマンショックが追い打ちとなり、既存顧客へ継続的な供給が危ぶまれ、事業の再構築が必須となっていました。

 

その際、既存顧客の皮革以外の用途を分析した結果、革以外にゴム、発泡体、不織布という材料加工で使用されている事が分かり、当社の顧客は“やわらかい材料を加工するお客様”と定義する事が出来ました。そこから、打ち出し方を変え、展示会、WEBにより新規顧客と接点を創出し、研究開発により顧客課題の解決を図り、今では、皮革産業だけではなく、幅広い用途で使用してもらえるようになり新たな産業で活躍しています。

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現在取り組んでいることについて

現在、半導体、燃料電池、EV用途の高機能軟質素材スライス加工装置、受託加工事業を新規に立ち上げました。革加工技術で培った軟質加工技術で先端分野の軽薄短小ニーズに挑戦し、グローバルニッチトップ企業を目指し、産業、地域の発展に貢献出来る企業作りを行っていきます。

社員に対して

現在、当社が製造する機械は、国内唯一の製造業者として、責任を重く感じています。これからも、古き良きものを大切にし、社員と共に考え、形にし、達成感を分かち合える企業作りを通し、新しい未来に挑戦しています。そして従業員とのコミュニケーションを大事にしようと新入社員とは交換日記をしたり、社内新聞を社長の私自ら作成したり、少しでも社内の働く者同士が仲良くなれたり知ることが出来るように手探りながらやっています。

同友会への想い

事業承継したことで人から言われたことにモチベーションを保つのがすごく難しく、事業や目的を明確に持てず過ごしていた時に、経営指針書を作り目的を明確にしたいと思い同友会に入会しました。

 

同友会は、情報の共有や収集の場所として常に刺激的で印象に残ることばかりです。近隣の経営者に触れることで、色んな価値観で頑張り方も様々な社長がいることを知ることができた。参加するごとに違う経営課題が見え、自身だけでは分からないことにも気付くことができ、社長の成長が会社の成長にもつながり器量や徳を鍛えるのに同友会は、とてもありがたい場所です。

今後の展望

「グローバルニッチトップを目指し、革職人を笑顔に」を合言葉に、国内一社オンリーワンでナンバーワン企業を目指します。私たちだけの「軟素材加工技術」による機械製造メーカーとしてクライアントの“ものづくり”をサポートし、75年間の経営基盤を基に社会環境にも順応できる製品を供給し続けていきます。「ニッチ技術、迅速力、安定経営」をこれからもスローガンにお客様に喜んで頂ける経営を目指していきます。

編集後記(取材の感想)

いつも計画をしっかり立てて実行されている青田さんを同友会では見てきましたが、実際会社に訪問して改めて話を聞いたり、会社見学させてもらって、事業承継、採用、人材育成、新規事業への展開など一筋縄ではいかなかったご苦労がお聞き出来てもっとニッピ機械の今後が楽しみになりました。これからも西はりま支部での活躍も楽しみにしております。

 

感動会社楽通株式会社 田村慎太郎