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有限会社珈集

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会員名  

 

平野薫大(代表取締役)

所在地  

 

兵庫県三木市福井2165-1

創業   

 

2005年4月27日

事業内容 

 

喫茶店経営、珈琲、紅茶及び珈琲器具の輸入並びに販売
飲食店舗の内装及び外装の設計並びに施工
フランチャイズチェ-ンシステムによる加盟店の技術援助
営業指導等の経営コンサルタント業務

従業員数 

 

正社員11名アルバイト115名

公式サイト

 

https://kasyu.coffee/

入会年月

 

2013年7月

企業の沿革

有限会社珈集は、平成17年4月27日、平野薫大氏が三木にて創業したものです。平野氏の父は、大手珈琲会社の従業員であった頃から、退職後に店を出すことを夢見て、現在の珈集三木本店の図面をデッサンしていました。しかし、退職して店を出そうという時に、会社から役員になるよう請われたため、出店の夢を平野氏に託しました。

 

そして、父の夢を叶えるべく、平成17年6月、平野氏が25歳の時に、三木本店をオープンしました。その後、同じ三木市内に青山店をオープンし、高砂店、姫路西店、フランチャイズ箕面店、伊丹店、姫路花田店、加古川ヤマトヤシキ店、西明石店を順調に出店し、令和5年には10店目の東加古川店がオープン予定です。

有限会社珈集の取組み

⑴五感すべての満足に向けて

「珈琲の美味しさは、焙煎後の鮮度で決まる。」と平野氏は力強く語ります。珈集では、珈琲豆の焙煎後の鮮度を保つために、自社で焙煎し、100グラム単位で在庫管理を行っています。

 

そして、珈集では、珈琲をお客様に一番美味しい状態で、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚で楽しんでもらうために、建物の外装、内装、中庭、珈琲カップ、その他調度品すべてにこだわり抜いた落ち着いた空間にて、鮮度のよい珈琲豆、手作りの和菓子を提供しています。

 

⑵社員との絆

五感すべてでお客様に満足してもらうためには、店舗、珈琲、和菓子が揃っているだけでは足りず、「人」がもたらす「間」、「空気」が不可欠です。

 

珈集では、現在9店舗(令和5年には10店舗)あるため、これらすべてを平野氏一人でマネジメントすることは不可能です。平野氏は、4名のエリアマネージャーにそれぞれの統括エリアごとに管理を委ね、毎月1回、まずは4名のエリアマネージャーと幹部会議を開き、店舗ごとの売上、客単価等を分析します。そして、そこで議論されたことをエリアマネージャー含む正社員11名及びアルバイト1名と運営会議にて社内全体で情報共有を行い、「間」、「空気」の演出を可能とします。

 

なお、珈集では一旦退社したものの、他社では物足りず、帰ってくる社員が多く、その社員は珈集の中核となって働いております。社員が戻ってくる理由は、他社では味わえない『やりがい』に他なりません。

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飲食業界を取り巻く外部環境と対策

新型コロナウイルスが飲食店に与えた影響は甚大であり、令和2年以降、閉業した飲食店、喫茶店は数知れないとのことです。飲食店、喫茶店等の同業他社が減少しても、需要がそもそも盛り上がってこないために、売上の増加に繋がることはないようです。なお、求人を出すと採用の応募はすぐにあるようですが、採用応募の理由の大半が「今働いているところがつぶれるので」と聞くようです。

 

また、昨今の物価上昇により、コーヒー豆の仕入が約2.5倍上がり、光熱費、人件費も軒並み上がり、去年までと同じ売上では、同じ利益率を残すことができないのが現状です。

 

これらの対策として、珈琲一杯の値段を上げること、新商品としてカレー等のご飯ものを提供すること、お土産の充実、通販による物販面も強化し、客単価を上げています。

 

また、コロナ禍にもかかわらず、出店をすることに周りから驚かれることも多いですが、平野氏は、売上の増加、仕入れコストの削減、リスク分散などの多店舗経営ならではのメリットを緻密に計算し、計画を立てて実行しており、そこには何の抜かりもありません。もっとも、多店舗経営には、それを支える人が不可欠であり、 このような経営ができるのも、スタッフへのやりがいの提供に優れている珈集ならではのことです。

更なる飛躍へ

令和5年、東加古川に10店舗目がオープン予定です。令和3年1月にヤマトヤシキ店に店舗展開したことで、珈集の認知度も高まり、各社から情報もよく入ってくる ようになりました。

 

これまでは喫茶店、通販含め、小売業がメインでしたが、これからは、珈琲の営業マンともパートナーシップを組み、飲食店、スーパーへ珈集の鮮度の良い珈琲豆を広げていきたいと考えています。

同友会への想い

同友会にいると、人の前で話をする機会、自分の会社をプレゼンする機会などに恵まれ、そこでどう話をすれば理解して、喜んでくれるのかがわかるため、良い勉強をさせてもらっています。ここでの経験は商談でも大いに役立っています。

 

同友会は、いつかは辞める日が来ると思っていたが、気が付けば、お客様、友人、取引業者、相談する人もすべて同友会にいます。経営者は孤独といいますが、経営者同士の結束は固く、今では同友会という場が自分の拠り所になっています。

編集後記(取材の感想)

今回インタビューさせていただき、社内会議の仕方、会議資料の作り方、人の配置など、これほどまでに同友会で学んだ事をいかしていることに驚きました。毎月店舗ごとにスタッフ全員の状態を把握し課題があればすぐに対応する、このようなきめ細やかさが、社員が一度辞めても帰ってくる理由の一つかなと思いました。なんでも答えてくれる平野さん、珈集でコーヒー、和菓子をいただきながら話してみてはどうでしょうか。

 

王子印刷株式会社 代表取締役 井上洋佑