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能見建設株式会社

|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)|会員企業訪問(兵庫県中小企業家同友会)

会員名  

 

能見 信之(代表取締役)

所在地  

 

朝来市生野町口銀谷317番地30

創業   

 

1981年(昭和56年)1月

事業内容 

 

総合建設業、産業廃棄物収集運搬業、一般廃棄物収集運搬業

従業員数 

 

3 名

公式サイト

 

https://nohmi-const.jp/

入会年月

 

2013年5月

 

沿革

父親が53歳で創業した土木会社に、ズブの素人で入社したのは昭和63年でした。

大学は英米学科、元勤務先は海外専門の宅配便会社でしたので、文字通りゼロからのスタートでした。

 

見るものすべてが新鮮で仕事を覚えることに必死でした。

慣れてくるにつれ、判って来たのは土木業界特有のしきたり、“生き馬の目を抜く”厳しい世界。

 

「もし心臓の悪い父が今倒れたら、うちは叩き潰される。

父の後ろ盾があるうちに自分が一人前であることを示さないと」。

 

「まだ早い」と渋る父を説得して早めに事業承継をしました。

会社には当時、創業時に躓いた大きな借金があり、承継前はどこか他人事で被害者意識がありましたが、承継後は愚痴が言えなくなりました。

 

気がつけば代表として腹をくくるようになり、新たな事業や資格の取得などを通じて仕事の幅が広がり、人脈も増えていきました。

先代では土木一本でしたが、承継後は管工事、建築、下水道、リフォームと事業を拡大しました。

 

今では、やった分だけ返ってくる、自分たちで築くものが世の中に残るこの仕事に喜びを感じています。

内外部環境の変化

入札制度が公募制に変わったことは、大きな転機でした。

それまでは指名制でチャンスも多くありませんでしたが、公募制に変わり、自分がしたい仕事を選び、向かっていけるようになりました。

 

それに伴い、仕事のエリアも広がりチャンスが増えました。

しかし、良いことばかりではありません。

 

解体工事中の建物の倒壊で一度に4人の従業員が負傷入院してしまったことがありました。

行政からは指名停止処分を受け、仕事をしたくともできない状態が半年ほど続いたのです。

 

責任を感じ、眠れない日々が続きましたが、この事故を機に安全対策を神経質なまでに徹底しました。

辛い経験でしたが、この経験こそが、現在の大きな強みとなっています。


当社の経営指針には売り上げ目標がありません。
従業員には、品質に重点を置いた目標を定め、徹底させています。絶対に手は抜かない。

 

一度手を抜くと自分たちの仕事に自信が持てなくなる。

これを経営理念として「私たちの業務遂行上の唯一無二の判断基準は正か邪か、である。

 

コアは良心である」と伝えています。

今では着実にこの想いが全従業員に浸透していると感じています。

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入会の経緯と学び

JCが終わった40代の終わりに同友会と出会い、入会しました。

藤岡代表理事の例会で、ここまで自己開示をされるのかと衝撃を受けた事がきっかけです。

 

経営者の覚悟が違うと感じました。

また懇親会でも皆さんが終始経営の話をしていることに驚きました。

 

同友会は質が違うと感じ、すぐに入会しました。
同友会の学びの中で、一番印象深いのが指針書セミナーでした。

 

受講初日に自社の存在意義を聞かれ、答えることができずに焦り、足が震えた事を今でも覚えています。

そんな時、ケイローの伊集院先輩(当時)から「存在意義のない会社が30年も続かない。

 

顧客の声を聞きなさい」とアンケートの取り方を教えて頂きました。

そして顧客は仕事の品質だけでなく、従業員の発言や仕事に向かう姿勢、人格まで見てくれていることを初めて知りました。

 

そのアンケートは自社の存在意義のみならず従業員の自信・仕事への誇りにつながりました。

この事は、自社にとって大きな変化のきっかけでもありました。

現在の取り組みと展望

解体の依頼が寄せられた際、近年では闇雲に解体を受ける事をしていません。

建物の価値を正当に評価し、価値があると判断すれば、空き家バンクに登録し、建物と持ち主に新たな可能性を提案することを積極的に行っています。

 

もう一つの重要な取り組みは、カーボンニュートラルに向けた取り組みです。

エコアクションの取得や朝来市が精力的に推進するJ-クレジット事業に賛同し、当社の二酸化炭素(CO2)排出量に見合ったクレジットを購入することで朝来市の森林整備事業に投資し、温室効果ガスを埋め合わせるのです。


また、昨年、兵庫県の地域防災リーダー講座を受け、防災士の資格を取得ました。

これは、大雨・台風などの襲来時に消防団が対処し、被災後は地場の建設業者が力を合わせて復旧していく。

 

この流れの中にいて「防災」の知識が欠けていることに気づいたからです。

「自助・共助・公助」。被災時のふるさとを、命を地場の土建屋としていかに守るか。

 

自治体や企業と連携しながら、地域社会と共に進化していく決意です。

編集後記(取材の感想)

事務所に足を踏み入れた瞬間、目に留まるのは壁いっぱいの表彰状と感謝状だ。

長年にわたり、社会に対し、多大な貢献をしてこられた事が一目でわかる。

 

能見氏は「守る」為にひと時も学ぶ事をやめない。

取材を通して、知らないところで我々の生活をしっかりと守ってくれている企業がある事に気付かされた。

 

経営者たるもの、社会とともに生きていく姿勢が必要不可欠であり、企業存続そのものが社会貢献であると考えさせられた企業訪問となった

 

有限会社藤久鐵工 藤原 史陽