会員企業訪問
VISIT
会員名
西村 大輔(代表取締役)
所在地
神戸市長田区久保町5-1-1
アスタくにづか3番館内006-2
創業
1962年11月
事業内容
うなぎの蒲焼の製造販売、卸し、飲食
従業員数
16人(社員4名)
公式サイト
入会年月
2015年1月
事業内容及び企業の沿革
地域のお客様にうなぎを提供しているお店は祖父の代から3代目となる。現在売り上げは小売70%、卸し10%、接待弁当15%、飲食5%。もともと両親は店を継ぐことを望んでおらず、大学も建築学部に進む。在学中震災後の長田の再開発を見学に行き、未来の長田はきれいに整備された物だったが、かたや両親の店を見るととてもそんな輝かしい街とはかけ離れて見えた。自分はこの店から長田の街を盛り上げていきたいと決心し、両親の反対を押し切って3代目となる。現在は長田本店、飲食店、垂水店を運営。
業界の状況、外部環境の変化とその中での対策
飲食店がうなぎを売っているという形態が多い中、うなぎの小売がメインとなるのは珍しいそう。
小売(店頭販売・デリバリー)、法人向け接待用弁当、飲食の3本柱があった為、コロナ禍でも柔軟に対応できた。顧客情報を集め、個々の顧客のニーズに合った価値訴求を行える事も強みだ。現在地域内の顧客データは12,000件を超え、お客様と直に接して声を拾う。地域密着のやり方がこの地になくてはならないお店になっているようだ。
現在取り組んでいることについて
2021年初めての経営指針書を発表し、『10年後、10店舗』というビジョンを掲げ、従業員の意識も高まった所で翌年には2号店となる垂水店を出店。ところが1店舗だけなら目が届いていたのだが垂水店をNO.2に任せっきりになる。2年前のことである。勢いで出店したものの目標に向かってただ働くという環境に次第に疲弊していき、一人二人と離職者が出、結果社員が全員辞めることに。細かい計画や会社内の組織体制がなかったのである。今はしくみやルール、組織運営を強固にし、強い会社づくりに取り組んでいる。
社員に対して
社員の未来を創るための2号店出店だったがこの事で社員の心を壊してしまった。社員全員退職という中で自分にとっての幸せとはを真剣に考えた時、売り上げや利益ではなく従業員が笑顔で働いてくれることだと気づき、働きたい労働環境にすることが一番とわかった。今のビジョンは『日本一働きたいうなぎ屋』!!組織が崩壊する中、残ってピンチを救ってくれたパートさんたち。その声を一つずつ聴きながら働き易い環境づくりに取り組んでいる。昨年から社員も2名増え、ようやくチームとしてビジョンに向き合えるようになった。経営理念『旨いウナギでココロもカラダもHappyに』はお客様だけでなく従業員もハッピーにする事。その原点に立ち戻った。
同友会への想い
今2号店の苦戦や社内の課題を前にした時、同友会型ビジョナリーカンパニーへの道を思い出した。赤字会社から黒字会社へ。弱い会社から普通の会社へ。この出だしの部分を今しっかりつくっている。「同友会の他の会員さんはその普通の会社を伸ばしていってるんですよね」と他の経営者との会話の中に良い会社への道筋を学ぶ。同友会には目標とするいい会社がたくさんある。同友会の役を受け、共に汗をかく仲間が自分を更新してくれると西村氏は語る。
今後の展望
2年前までは自分と同じように何でもできる人材を育てようとしていた。組織が一新した事で結果「、製造」「販売」「経理」「労務」が分かれて動けるようになり、それぞれの部門が機能し、しっかり走れるような組織をつくる。ビジョンに掲げる『日本一働きたいうなぎ屋』の姿を従業員みんなで具象化し、一つ一つ形にしていく。旨いウナギでココロもカラダもHappyに!!!
編集後記(取材の感想)
数々のピンチから抜け出すのは本当に大変な思いをされたと思います。そこで思い出された同友会の学び。普通の会社になる事の難しさ。強い会社をめざすことの大切さ。改めて同友会の学びや他の会員さんとの関係の重要さがわかりました。素晴らしい経営者と普通に話せる環境は贅沢だと西村氏は言います。本当にそうだと改めて思いました。働きたい労働環境にするのが1番の幸せと語る西村氏が素敵でした。
広報委員長 株式会社寺花屋 谷口 花織