会員企業訪問
VISIT
会員名
中川 伸一(代表取締役社長)
所在地
神戸市東灘区住吉南町4丁目1番7号
創業
1925年1月
事業内容
食品梱包資材全般取扱、衛生管理品全般取扱
従業員数
10名(内パート2名)
公式サイト
入会年月
2021年11月
事業内容及び企業の沿革
創業100年を迎える、株式会社森川貫一商店(以後モリカン)さんは、大正14年に葺合区国香通(現中央区国香通)において、初代森川卯之助氏が天然竹皮、折り箱(食材の梱包材)の販売業を営んだことに始まります。昭和4年に初代社長、森川貫一氏(現社長中川氏の義祖父)が経営に参画し、昭和30年に天然竹皮に代わる人造竹皮製造に成功、全国に普及宣伝をして広げていきます。昭和33年には特許取得、翌昭和34年には株式会社設立、オフセット印刷業も兼営始めました。その後、3代目、4代目と引き継ぎ、衛生用品も手がけるようになり、令和3年に現社長、中川伸一氏が5代目に就任されました。
事業を引き継ぐまで
会社の現状や、今後についてお話しする前に、中川社長のご経歴を少し紹介いたします。広島大学卒業後、国会議員秘書を経て、念願の渡米。金融工学に興味を持ちシカゴで学んだのち、先物セールストレーダーとして証券大手日本法人に現地採用となります。リーマンショック前に赴任先のシンガポールにて、奥様と出会いご結婚。この時は社長自身も、奥様もモリカンを継ぐなんて夢にも思わず、大好きなアメリカに戻り、信託銀行に転職しました。しかし、義父が病気となり、奥様がご帰国。後を追って帰国し、モリカンに入社。取締役となるも義父は療養中で、会社で一緒に仕事をすることはなかったそうです。
業界の状況、外部環境の変化とその中での対策
売り上げの7割を地元大手スーパーが占めている現況。地域密着で、自社配送も行なっているため、ご用聞きとしての強みはありますが、最近の環境意識の高まりなどにより、プラスチック類や既存資材への逆風も強く、新素材への転換も迫られています。ただ、コロナ、HACCPなどにより衛生意識の高まりは、衛生管理品の需要を押し上げ、取り組みが売上に結びついてきている感はあります。
現在取り組んでいることについて
大手スーパー依存から脱却すべく、若い社員と飛び込み営業なども積極的に行なっています。経営指針書の作成を通して、現実とのギャップが浮き彫りになり、課題の発見が容易になり、解決のヒントがスムーズに浮かぶようになってきました。また、理念や方針ができたことで、「やり方」でなく「あり方」から考えられる癖がついてきたからか、採用がうまくいくようになってきました。ただ、指針書があるから会社が良い方向に自走していくものではありませんし、社長の熱意が必ずしも社員に伝わるものではない、ということもよく解ってきたので、時間と忍耐が必要だと痛感させられています。
社員に対して
畑違いの金融マンからの転身で、業界のこともわからず、社長業はおろか、業務も未知の世界でしたので、頼りにしたのは一番会社のことを知っていた義姉で、1からのスタートでありました。ようやく自身の採用した従業員と営業にも回れるようになり、楽しく働いてもらいたいというのは当然ですが、各自がなりたい自分になれる環境を提供することが大切だと思っています。
同友会への想い
経営者としての勉強をたくさんさせていただいていますが、「やり方」でなく「あり方」、やはり人との出会いが同友会最大の魅力であります。運営委員メンバーとして2年目となり、新たなメンバーのお誘いも自信を持って取り組めるようになりました。入会するだけでは得られないステップに感謝し、さらなるブラッシュアップを自社に持ち帰りたいと思います。
今後の展望
ここまで夢中に働くことを予想していなかったらしいですが、経営指針を社内で発表して、妻の身内からも社長を引き継いでもらって良かったと言ってもらえて、少しはお役に立てている実感が湧いてきました。創業100年という伝統を守らなければというプレッシャーより、次の100年のモリカンの発展が楽しみで、充実感の方が大きくなっています。目標は3倍に設定して、ますます発展する「モリカン」をよろしくおねがいします。
編集後記(取材の感想)
海外帰りで、金融工学に精通していらっしゃる中川さん。昨年度はオーストラリア人経営者のご紹介など、人のつながりもインターナショナル。アメリカにもまた進出したいという想いも話され、ますますのご活躍が期待されます。東神戸支部にも新たな学びをたくさん創って欲しいと思います。
広報委員長 有限会社コトブキ・エンタープライズ 黒川 賢一