会員企業訪問
VISIT
会員名
福本 亮(理事長)
所在地
兵庫県姫路市南条2丁目23番地
創業/設立
1917年
事業内容
病院(産科・婦人科・形成外科・内科)
従業員数
128名(パート62名)
公式サイト
入会年月
2020年12月
事業内容及び企業の沿革
明治37年、小国積治が福崎郡福崎町山崎で産婦人科を開院しました。大正6年、姫路市本町に移転。ここから小国病院が始まります。それから4代にわたり小国家が運営されていましたが、平成19年に医療法人伯鳳会に譲渡。その後令和2年7月医療法人藤森医療財団に譲っていただきました。それから私が理事長として運営しております。小国病院はもともと産科、内科の病院でしたが、医療法人伯鳳会時代に婦人科や形成外科の拡充につとめました。現在でも産科・婦人科・形成外科・内科を標榜し、女性のトータルケアができる病院として姫路の皆様に貢献できるように尽力しております。
私は大学を卒業後医者となり、大阪で泌尿器科医、透析医として大きな病院で働いていました。38歳の時に、父親の提案で小国病院を引き継ぐことに決め、大阪の病院を退職。それから赤穂や姫路で産婦人科の勉強をし、今にいたります。
業界の状況、外部環境の変化とその中での対策
当院は女性のトータルケアができる病院ですが、収益の8割はお産です。
少子化の問題は広く知られていますが、最初に影響を受けるのがこの業界です。
姫路市でも出生数は減少傾向にあります。今から15年前(平成21年頃)は姫路市で5,000人以上産まれていましたが、現在は3,400人にまで減少しております。少子化の理由は多岐にわたり、様々な要因がからんでいるため、簡単に解決できません。日本だけでなく、先進国は全て同様な状況ですが、ほとんど解決できていません。
その最たる理由として少母化があげられます。出産数の減少は30年以上前から続いているため、母親となる年齢の方の人口があ以前より少ないのです。現在、働き手不足、若手の労働者不足で悩まれている業界は多いと思いますが、その年代の女性の数ももちろん少ないのです。国には少子化対策をもっともっとしてほしい、なんとかしてほしいと思っていますが、一方でどれだけ対策がなされたとしてもこの流れが止まることはないだろうとも考えます。
そのような環境の中で生き残るため、①シェアの拡大②守備範囲を広げる③付加価値の習得④産科以外の充実を目指しています。
①シェアの拡大。高級なサービスを提供し、それ相応の代金をいただいていけば短期的には収益は上がると考えています。しかしそれではシェアが上がらず長期的には苦しいと考えます。長期的に生き残るためできるだけ今のうちにシェアを拡大したいと考えています。そのために一定以上のサービスをできるだけ安価に提供できるように努めています。
②守備範囲を広げる。当院は姫路バイパス市川インター出口からすぐの場所にあります。地の利を生かして姫路市民だけでなく高砂市、加古川市、たつの市からも来ていただけるよう認知度の向上に努めています。
③付加価値の習得。東京都が無痛分娩に助成を開始します。これから東京都以外でも無痛分娩を希望される女性は増えると予想しています。当院は以前から無痛分娩に取り組んでおり、年間400件以上の実績があります。皆様に安全に手軽に無痛分娩を受けていただく体制を作ることは大変な作業なのですが、頑張っています。また出生前診断も積極的に行っています。
④産科以外の充実。子宮がん検診などの検診事業、また婦人科の低侵襲手術(腹腔鏡、子宮鏡)、美容形成にも積極的に取り組んでいます。
現在取り組んでいることについて
今年から地域の皆様にできるだけ小国病院を身近に感じていただこうとイベントを増やしています。クラシックコンサートや、子育て講演会、よもぎ蒸し体験等を行ってきました。
コロナやインフルエンザもだいぶ終息してきました。感染対策として院内に患者様以外の方(ご家族等)に入っていただけない体制としてきましたが、少しずつ開放していきたいと考えています。
病院は患者様に説明するための書類、紙が多いです。これをできるだけスマホやPCを駆使してペーパーレス化しています。動画も併用し、今まで以上にわかりやすいものに変えていっています。
社員に対して
5年前、法人がかわった際に一人残らず全ての従業員が私についてきてくれました。そんな恩のある従業員を幸せにすることが私の使命です。やりがいのある仕事を充分に提供し、働きやすい職場環境を作り、不足のない給料を払い、一生の面倒をみる。それがこの病院での私の存在価値だと思っています。また、100年続いてきた小国病院を今後100年続けるために、若手の採用、育成に励んでいかなければならないと考えています。
同友会への想い
私は勤務医(一般従業員)からいきなり60人を束ねる経営者となりました。右も左もわからない中、藁をもすがる思いで同友会に入会させていただきました。経営に答えはなく、また正解を教えてくれる教科書のようなものもありません。同友会で色々な経営者とお会いし、様々な成功例、失敗例をお聞きすることができました。このような経験を通じて少しずつ経営者らしくなれてこれたかなと思います。また、経営指針書を作成し、ブロックや例会で発表させていただく機会をいただいたことが自分にとって大きなことでした。自分のやってきたこと、やりたいことを整理し、また文字に起こすことで自分が何を考えているのか整理することができました。それをもとに将来どうすればよいのか明確になってきました。
今後の展望
今まで100年姫路でかわいがっていただいた小国病院を、これから100年続けていくことが私の使命です。外部環境の変化としては少子化、そして内部環境としては建物の老朽化に伴う新築移転等、小国病院には逆風が吹きまくっています。やらなけばならないことは山積みですが、頑張っていきます。
編集後記(取材の感想)
広報委員のメンバーとして、医療施設見学をさせていただきました。
医療施設だけでなく、お産を終えた患者さんのために、本格的な食事やおやつを提供する調理室もありました。
また、社員のために託児所が完備されており、働きやすい環境づくりが行われていました。
「これから100年続けていくこと」や「従業員を幸せにすること」を使命として掲げていることが、実際に感じられる一面でした。
株式会社高橋総合事務所 山口 直樹