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新年のご挨拶

この原稿を書いている202011月末、新型コロナウイルス感染拡大第3波のただ中ですが、コロナ一色であった昨年から新しい年を迎えた皆様におかれましては、新たな思いをもって新年をスタートされたことと思います。

ここ数年、年頭の挨拶に「昨年は激動の一年でした」の言葉がない年はないと言われますが、2020年は1月の英国のEU離脱を皮切りに、現在進行形の新型コロナパンデミックによるサプライチェーンの崩壊、米中分断の加速と世界経済の収縮、香港一国二制度の事実上の崩壊、東京オリンピック、パラリンピックの延期、菅政権の誕生とトランプ政権の終焉等、海外国内共に確かに激動の一年ではなかったでしょうか。

昨年2020年は創立50年の区切りとなる兵庫同友会にとっても激動の一年でした。コロナ禍による定時総会をはじめ、各支部例会、ブロック会の縮小や中止、会費免除の履行、委員会活動においても就職サミット、経営指針セミナーの見送り、そして私たちにとって1年で最も大きな行事であるオール兵庫も今年2月に延期することになりました。しかしながら「不要不急の集まりは自粛せよ」という状況の中、私たちは「いま出来ることをする」という意思の元、リモート開催も含めた各支部、委員会の役員会、理事会を継続開催し、月次の景況調査、各社のコロナ対策の情報共有をはかり、そして今年の総会で発表するVISION2025の策定をも進めてきました。昨年1027日の同友会50年周年記念日の集いでは、レジェンドの方々と半世紀にわたる兵庫同友会の歩みを振り返り、「私たちは共に強靭な経営体質をつくり兵庫を照らす起業家集団となる」と宣言いたしました。新型コロナウイルスという弾幕のもと匍匐(ほふく)前進を続けてきた私たちは、その状況がゆえにこそ地域を支える企業家の誇りを再確認し、仲間を一社も潰さない同友会運動の意義を再認識することができたのではないでしょうか。

 

2021年度の兵庫同友会の活動方針案として「先行き不透明・不確実さのなかを企業変革力で生き抜く会社づくり」をスローガンとしてあげています。私たちは今まで、環境変化に素早く適切に対応する、もしくは変化を先取りし先手を打つ企業が生き残るのだと学んできました。ですが今、私たちを取り巻く外部環境の不確実性は新しい常態(ニュー・ノーマル)となり「想定外は想定内」、どう変化するのか予測できないのが常であるという認識をもち事業活動にあたらなければなりません。

 

■世界における不確実性(各国の政策や国際情勢、事業環境の急激な変化等の予測しづらい事態の総称)の高まり 

サプライチェーン分断リスクによる不確実性

ウイルス感染症、自然災害

政策、地政学リスクによる不確実性

英国のEU離脱、米中貿易摩擦

テロ、戦争、軍事的緊張による経済の先行き不透明性

自然災害による不確実性

台風、地震等の自然災害リスク

技術革新による不確実性

不連続なデジタル技術革新による産業構造変化

自動車産業における変革(CASE

 

 

 

 

 

 

 

 また同時に私たちを取り巻く確実にやってくる環境、政策変化(少子高齢化による労働人口減少、働き方改革、脱炭素社会の到来、サスティナビリティの潮流加速(SDGs)、最低賃金の継続的な上昇、生活・行動様式の変化とDXの取り組み加速、2025年問題、2025年の崖等)も見据えたうえで経営にあたる必要があります。

 

いつになるかは分からないですがこのウィズ・コロナから新しい環境、価値基準、文化のポスト・コロナの時代がやってきます。ポスト・コロナ時代において、何が成功するか分からす、成功モデルも1つに定まらない中、特定分野に特化することがリスクともいえる状況で私たちは自社の企業変革力(自ら変化を作り出す力)を磨き発揮しなければいけません。それは明確な経営理念(ミッション)のもとトップ自らが多様性を重んじ変化を恐れず、ファクト(真実)をキャッチし、スピード感とダイナミズムをもって組織内外の資産を再構成し続ける経営です。そもそも再構成する経営指針がないのですが?どこでリアルな経営情報を入手するのですか?どのように戦略、組織を作り直すのですか?私自身は全て同友会の交流の中で学ぶことが出来ました。

 

同友会理念「同友会の三つの目的」の「よい会社をつくろう」の原文は、「同友会は、ひろく会員の経験と知識を交流して企業の自主的近代化と強靭な経営体質を作ることをめざします。」です。次の半世紀の1歩となる兵庫同友会の活動の中で、企業家としての誇りと使命感を持ち、強靭な企業を共に目指していきましょう。

 

最後に、このパンデミックについて経済学者・思想家のジャック・アタリ氏の緊急インタビューの一部を紹介し年頭の挨拶とします。

Think and Live Positive!  ポジティブに考えて生きよう!

「まず、ポジティビズムはオプティミズム(楽観主義)とは異なります。たとえば、観客として試合を見ながら「自分のチームが勝ちそうだな」と考えるのが楽観主義です。一方、ポジティビズムは、自らが試合に参加し「うまくプレイできればこの試合に勝てるぞ」と考えることです。そういう意味では私はポジティブであると言えるでしょう。私は人類すべてがこのパンデミックとの戦いに勝てると考えています。自分たちの安全のために最善を尽くし、世界規模で経済を変革させていくことができればきっと勝てるでしょう。」引用:ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」より

 

代表理事 藤谷良樹(神戸板金工業㈱・代表取締役)