投稿者:(株)経営人事教育システム 下山学(神戸中央支部所属)
ドラッカーが提唱したことでも知られる目標管理制度(MBO)。中小零細企業にも目標管理制度を導入するメリットはあるのでしょうか。
目標とは、目的(最終的に成し遂げたい内容)を達成するための、具体的なステップや指標のことを指します。そして目標管理は、共通の目的を達成するために、個々人のベクトルを合わせて、具体的な進め方と進捗を明確にして仕組み化することです。
目標管理制度導入のお話しする前に、「ピープルマネジメント」についてお話しします。
ピープルマネジメントとは、従業員一人ひとりの成功にコミットするマネジメントとして最近よく取り上げられている手法です。ピープルマネジメントは、仕事の進捗やタスク管理などを行うかつてのマネジメントとは異なり、「人」に向き合うマネジメントのことを意味します。
管理職であるリーダーは、メンバーの成功(目標達成やキャリア、人間関係、働き方、能力など)にコミットすることで、メンバーのパフォーマンスとエンゲージメントを向上させる役割を担います。
なぜピープルマネジメントが注目されるのか。
背景としては、「人」が今後より一層稀少な経営資源となり、企業はこれまで以上に「優秀な人材をひきつける魅力ある組織づくり」に注力する必要が出てきたためです。ピープルマネジメントの効果として言われているのが、ピープルマネジメントを実践することで、それぞれの立場におけるメリットがあるからです。
たとえばピープルマネジメントの経営・人事のメリットとして二つのポイントが挙げられます。
・意思疎通のコミュニケーションロスが減り、戦略実行のスピードやパフォーマンスが上がること
・組織に対するエンゲージメントが高まり、組織やチームが変化に強くなること
また、マネージャーや従業員のメリットとしては三つのポイントがあると言えるでしょう。
・軌道修正がすばやくでき目標達成に近づく
・チームや個人の成長スピードが上がる
・メンバーが100%のパフォーマンスを発揮できるようになる。
このようにピープルマネジメントを進めていくなかで必要不可欠になってくるのが目標管理制度になります。
中小零細企業の目標管理制度の導入手順についてまとめます。
1.まず会社に方向性を決めてもらう
目標管理制度の成功は、企業戦略あってこそです。
目標管理制度では、従業員と企業の目標がリンクします。従業員に目標設定をさせる前に、企業の目標を役員クラスに見直してもらい、修正すべき部分は先に修正してもらいましょう。経営陣が組織としてのゴールを明確に示すことができれば、現場が出すべきゴールも明確になります。
2.いつ・どこから導入するかを決める
まずは、導入結果がわかりやすい営業部などの定量目標が立てやすい業務をしている部門から導入しましょう。
部門によっては目標管理制度を入れても評価基準がわかりにくいところもあり、そのような部門からすれば、会社都合で一斉導入されても、単に通常業務の進行に支障が出るだけの場合があるからです。評価に関わることなので、慣れない部署はピリピリしがちです、なるべくソフトランディングを心がけましょう。
3.マネジメント体制を作る
管理職(上司)が部下を適切にマネジメントできる体制作りをします。具体的には経営陣も目標管理制度を実施し、各部門の統括者に対して目標管理制度によるマネジメントをしてもらいます。
理由は、目標管理制度では企業と従業員の目標がリンクしますので、各部門のトップは企業方針に近い人物と整合性が高いのが理想だからです。一見、手間がかかる印象ですが、結果的にはこの方が企業全体に経営陣の考えと企業の目標が正確に浸透し、目標管理制度の成功率が高くなります。
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