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経営者にとっての不動産とは─動かない不動産を“動かす”という戦略

投稿者:株式会社熊野不動産鑑定 山本勇治郎

株式会社熊野不動産鑑定 代表取締役 山本勇治郎氏

 

東神戸支部 株式会社熊野不動産鑑定 代表取締役 山本勇治郎

皆さんの会社や個人が持つ土地や建物は、普段どれくらい“動いて”いるでしょうか。多くの経営者にとって、不動産はその名前の通り、そこにあるだけの存在になりがちです。しかし、鑑定士として多くの経営者の方を見てきた経験から言えるのは、不動産は動かすことで価値が増大する資産であり、動かし方次第で会社の未来を大きく変える経営資源になるということです。

 

■ 経営者にとっての不動産とは

 

不動産は、経営者にとって二つの側面を持っています。

1.本業を支える“事業基盤”
オフィス、店舗、工場、倉庫─不動産は、事業活動の舞台そのものです。立地や建物の状態、その見た目などは、企業の生産性や採用力、ブランド力に直結します。

2.財務を強くする“戦略資産”
企業や経営者が不動産を保有・投資することは、減価償却による節税、資産形成、銀行の担保評価アップ、事業承継時の株価調整、といった財務戦略に直結します。

つまり不動産は、事業の土台でありながら、財務を強化する積極的ツールでもあるのです。

 

■ 不動産を“動かす”ことで生まれるメリット

 

1.節税と損益通算でキャッシュを守る
建物を購入すると「減価償却費」を計上でき、税負担を軽くできます。また、本業と不動産所得を「損益通算」することにより、資金繰りの安定につながります。

2.安定したインカムゲインを生む
不動産を賃貸することで得られる賃料収入は、本業の業績に左右されない“第2の収益源”となります。そのような不動産を取得したり、活用されていない保有不動産を賃貸する判断をしたり、さらには、すでに賃貸している不動産の改修等の追加投資を行うことにより、第2の収益が増え、会社の収益構造が強くなります。

3.資産価値を信用力に変える
保有不動産は金融機関からの融資枠判断に大きな影響を与えます。保有不動産を増やしたり、すでに保有している不動産の評価額を定期的に見直すことで担保評価が上がり、融資枠の拡大につながる可能性があります。

4.事業承継をスムーズにする
将来の事業承継を見据えた際に、不動産を適切に動かすことでスムーズな株式の移行のための準備につながります。承継の現場で揉めがちな不動産を、スムーズな承継のためのツールとして活用しましょう。

 

■ 不動産を動かす前に知っておくべきリスク

 

1.流動性の低さ
不動産はすぐに現金化(売却するまでに時間が必要)できません。固定資産税や修繕費などの維持費も発生します。

2.空室・金利上昇リスク
賃貸に出しても空室が続けば収入は減り、金利が上がれば返済負担が増えます。また、これらは景気変動に大きく影響を受けます。

3.経営ステージによって正解が変わる
創業期・成長期・承継期では、不動産の持ち方が変わります。“買えば良い”わけではなく、どう動かすかが重要です。

 

■ 不動産を“成り行き任せ”にしないために

 

不動産の判断を勘だけに頼るのは、地図を見ずに車を運転するようなものです。たまたま事故を起こしていないだけで、実は危ない道を走っているかもしれません。

経営者は、多くの社員や取引先を乗せてハンドルを握っています。だからこそ、不動産という経営インフラをきちんと把握し、意図を持って動かすことが大切です。

 

■ 最後に─不動産は“動かしてこそ価値になる”

 

不動産は「動かない資産」ではありません。正しく理解し、戦略的に動かすことで、収益を生み、財務を強くし、会社の未来を守る強力な経営ツールになります。

まずは、自社の不動産と向き合い、不動産の現状とその将来を見直すところから始めてみてください。その小さな一歩が、企業の安定と成長につながるはずです。

 

執筆者紹介
株式会社熊野不動産鑑定 代表取締役 山本勇治郎
(不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士)
http://kumanokantei.com/
兵庫県内を中心として日本全国どこへでも、そこに不動産がある限り飛び回る。資格学校での宅建試験講座の講師や、不動産業者や不動産オーナー向けのセミナーも行う。不動産の価格だけでなく、利活用や取得から売却まで不動産に関する総合的コンサルティングに力を入れている。

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