投稿者:司法書士法人ふるえ事務所 古江 慎二
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兵庫支部 司法書士法人ふるえ事務所 代表社員 司法書士 古江 慎二
■ はじめに
2024年4月から相続登記が義務化され、相続によって取得した不動産は、原則として相続を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく放置した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
なお、この義務化は2024年4月以降に発生した相続だけでなく、それ以前に相続した不動産についても対象となります。まだ名義変更をしていない不動産がある場合は、早めの対応が必要です。
「実家や田畑の話だから、自社には関係ない」と思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、中小企業では、自社で使用している土地や建物が創業者や先代社長個人の名義のままになっているケースは決して珍しくありません。
こうした状態を放置すると、事業承継や資金調達、設備投資など、会社経営そのものに大きな影響を及ぼすことがあります。
■ よくあるケース
本社ビルや工場、資材置場、駐車場などの事業用不動産が、会社名義ではなく先代社長個人の名義のまま使用されているケースがあります。
「生前に『会社で自由に使っていい』と言われていた。」
「家族経営なので問題ないと思っていた。」
こうした理由から、名義変更を行わないまま長年事業を続けている企業も少なくありません。
しかし、先代社長が亡くなった後も相続登記を行わず放置すると、次のような経営リスクが生じます。
① 融資や設備投資、売却が進められない
金融機関から融資を受ける際、不動産を担保に提供することがあります。しかし、土地や建物が亡くなった先代社長名義のままでは、担保設定ができず、融資手続きが進まないケースがあります。
また、不要になった土地を売却して事業資金に充てようとしても、名義が亡くなった方のままでは売買契約を進めることができません。
② 相続人が増え、解決が難しくなる
相続登記を長期間放置すると、その間に相続が繰り返され、権利を持つ相続人が世代を超えて増えていきます。
その結果、登記を行うためには、多くの相続人全員の協力が必要になることがあります。
相続人の中に連絡が取れない方や、協力が得られない方、判断能力が低下した方がいる場合には、手続きが長期化し、解決までに多くの時間や費用を要するケースも少なくありません。
③ 法令遵守と企業信用への影響
相続登記は法律上の義務となりました。
登記を放置することは過料の対象となる可能性があるだけでなく、金融機関や取引先から企業の管理体制に対して不安を持たれる要因にもなり得ます。
会社の信用を維持するという観点からも、不動産の権利関係を明確にしておくことは重要です。
■ 経営者が今すぐ取り組みたい2つのステップ
① 登記事項証明書を確認する
まずは、自社で使用している土地や建物の登記事項証明書を確認しましょう。
現在の所有者が誰になっているのか、会社名義なのか、それとも創業者や先代社長個人の名義なのかを確認することが第一歩です。
② 早めに司法書士へ相談する
もし先代名義のままであれば、放置するほど解決は難しくなります。
相続人の調査や遺産分割協議、相続登記を適切に進めることが重要です。また、法人への売買や贈与など税務面の検討が必要になるケースもあるため、司法書士が窓口となり、必要に応じて税理士や弁護士と連携しながら手続きを進めることで、より円滑な解決につながります。
■ おわりに
不動産の登記は単なる名義変更の手続きではありません。
会社の信用を守り、円滑な事業承継を実現し、将来の設備投資や資金調達を支える「経営基盤」の一つです。
「今まで問題がなかったから大丈夫」と思っている間に、相続人が増え、解決が難しくなってしまうケースも少なくありません。
一度登記簿を確認するだけでも、将来の大きなリスクを防ぐことができます。
この機会に、自社で使用している不動産の名義を確認し、必要に応じて早めに専門家へ相談することをお勧めします。
執筆者紹介
司法書士法人ふるえ事務所 代表社員 司法書士 古江 慎二
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