投稿者:小泉雅弘税理士事務所 小泉雅弘
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「経営理念は何ですか?」
そう聞かれて、すぐに答えられる経営者の方もいれば、「そういえば、最近あまり考えていなかった」と感じる方もいるかもしれません。
経営理念とは、単なる会社案内のキャッチコピーではありません。
「自分たちは、何のためにこの会社を経営するのか」
その答えが、経営理念であると考えます。
そして私は、税理士として多くの会社の決算書を見ている中で、実感することがあります。
「経営理念は、決算書に表れる」
決算書には、売上、利益、人件費、設備投資、借入金など、たくさんの数字が並んでいます。
しかし、その数字を「なぜ、この数字になったのか」という視点で見ていくと、その会社が何を大切にしているのかが見えてくることがあります。
例えば、「社員が成長し、安心して働ける会社をつくる」という理念を掲げている会社であれば、人材育成や教育、給与・福利厚生などへの投資に、その想いが表れるでしょう。
「お客様に喜ばれる商品・サービスを提供する」という理念であれば、商品開発、品質向上、社員教育などへの投資に表れます。
もちろん、「この費用が多いから良い会社」という単純な話ではありません。
大切なのは、「自分たちが大切にすると決めたものに、本当に経営資源を配分しているか」ということです。
こうして見ると、決算書は会社の「お金の使い方」を通じて、経営者の価値観を映し出す鏡とも言えます。
■ 利益は「理念を実現するための原資」
ここで大切なのが、利益についての考え方です。
「利益を出すことは、何となく後ろめたい」と感じる経営者もいらっしゃるかもしれません。
しかし、利益がなければ、社員の待遇を改善することも、新しい人を採用することも、設備投資をすることも、将来に向けて会社にお金を残すことも難しくなります。
だからこそ、利益は目的ではなく、経営理念を実現するための原資と考えてみてはいかがでしょうか。
「社員を幸せにしたい」「お客様に喜ばれる仕事をしたい」「地域に必要とされる会社でありたい」。
その想いを実現し、会社を未来へつないでいくためにも、適正な利益が必要なのです。
■ 決算書を「過去の通知表」にしない
決算書というと、「税理士が作ってくれるもの」「銀行に提出するもの」「税金を計算するためのもの」と思われているかもしれません。
しかし、決算書にはもっと大きな意味があります。
決算書は、過去1年間の経営の結果です。
だからこそ、決算のときには「税金はいくらか」だけを見るのではなく、
「なぜ、この利益になったのか?」
「なぜ、この人件費になったのか?」
「なぜ、この借入金が必要だったのか?」
「会社に、どれだけのお金を残せたのか?」
と考えてみてください。
そして、もう1つ大切な問いがあります。
「来年は、どんな決算書にしたいのか?」
ここまで考えると、決算書は単なる過去の通知表ではなく、未来の経営計画をつくるための材料になります。
■ 「理念→行動→数字」という1本の線
経営理念を実際の経営に生かすためには、「理念→経営方針→行動→数字」という1本の線をつなげることが重要です。
例えば、「社員を大切にする」という理念があれば、「人材育成と適正な待遇を重視する」という方針になり、「研修制度を整える」「給与体系を見直す」という行動になり、「年間○○万円を教育に投資する」という数字になります。
このように考えると、経営理念と決算書がつながります。
最後にぜひ1度、自社の決算書を「経営理念」という眼鏡で見てみてください。
「私たちは、本当に大切にしているものに、お金と時間を使っているだろうか?」
数字の1つひとつを眺めていくと、経営者自身も気づいていなかった「会社の現在地」が見えてくるかもしれません。
そして、これからどんな会社をつくりたいのかを考える。
経営理念は、壁に掲げるだけの言葉ではありません。
日々の経営判断となり、その積み重ねが数字となり、最後には決算書に表れます。
「どんな会社にしたいのか」その想いを、数字にも表していく。
それが、理念を実践する経営なのではないでしょうか。
執筆者紹介
阪神支部
小泉雅弘税理士事務所 代表 小泉雅弘
「経営者と未来をつくるパートナー」として川西市を拠点に中小企業の財務支援、自計化支援、経営相談等の伴走支援を行っている。
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